前ページで説明した通り、食塩水の問題には4つの要素が出てきます。「食塩水」「食塩」「水」「濃度」の4つです。
これらの要素はお互いに関係しています。関係しているとはつまり、『この4つの要素のうち、どれか2つが分かっていれば、残り2つも分かる』ということです。
そしてこの4つの要素の中から2種類を選ぶ選び方は6通りしかないので、そのパターンを全て練習すれば、全て解けるということになります。
まずは前ページで学んだ関係式を再確認してみましょう。
一番重要なのが⑤の式ですね。これが基本です。これさえ押さえておけば、ほとんどの問題が解けます。
では問題を解いてみましょう。
(1) 4つの要素のうち、「食塩水」と「食塩」が分かっている場合ですね。これは基本式⑤に入ればよいです。
$$\frac {27}{540}=▭$$
これを解いていきましょう。
$$27÷540=0.05$$
0.05は5%ですね。
また「食塩水=食塩+水」なので
$$540=27+▭$$
$$540-27=513g$$
こちらを先に求めても良いですね。
(2) 4つの要素のうち、「食塩水」と「濃度」が分かっている場合ですね。これも基本式⑤に入れれば解けます。
$$\frac {▭}{250}=0.14 $$
あとはこれを解くだけです。
$$▭÷250=0.14$$
$$250×0.14=35g$$
またこれも「食塩水=食塩+水」の式に入れて
$$250=35+▭$$
$$▭=250-35=215g$$
(3) 4つの要素のうち、「水」と「食塩水」が分かっている場合ですね。これを基本式⑤に入れてみても、「食塩」と「濃度」の2つが分かっていないので、解くことができません。
$$\frac {食塩}{ 870 }=濃度 $$
このように1つの式に2つの分からない要素があると、解くことができません。仕方がないので、まず食塩から求めていきましょう。④の「食塩水=食塩+水」の式に入れて
$$870=▭+783$$
$$▭=870-783=87g$$
これで食塩が分かったので、基本式⑤に入れることができます。
$$\frac {87}{870}=▭ $$
$$▭=0.1$$
0.1は割合なので、濃度%に直すには100をかける必要がありますね。つまり0.1は10%です。
(4) 「食塩」と「水」が分かっているパターンです。
④の「食塩水=食塩+水」の式を使って、まずは食塩水を求めましょう。
$$21+279=300$$
これで食塩水が分かりました。これを基本式⑤に入れます。
$$\frac {21}{300}=濃度 $$
もう解けますね。
21÷300=0.07
割合の0.07を濃度%に直すと7%です。
(5) 4つの要素のうち、「食塩」と「濃度」が分かっているパターンです。これもまずはそのまま基本式⑤に入れてみましょう。濃度%は割合に直して式に代入します。
$$\frac {38}{食塩水}=0.19 $$
これは分からない部分が「食塩水」だけなので解くことができますね。
$$38÷▭=0.19$$
÷(割る)の後ろに▭がある場合の逆算の手順は大丈夫ですか?不安がある場合はこちら。
$$38÷0.19=200g $$
この200gというのは、食塩水です。「食塩水=食塩+水」の式を使って
$$200-38=162g$$
(6) 4つの要素のうち「水」「濃度」の2つが分かっている問題です。4つの要素のうち2つが分かっているというパターンの中で、これが一番難しいものです。
試しに基本式⑤に入れてみましょう。
$$\frac {食塩}{食塩+814}=0.12$$
この式の中には食塩が2つ出てきていますね。このような場合、式1つで分からない要素が「食塩」の1つだけなので、本来ならば解けるはずです(実際大人ならば方程式で簡単に解けてしまいます)。小学生がこれを解くのは難しいので、別の考え方を導入します。
話が逸れますが、小学生にこの問題を解かせるときに、方程式を教えるのはお勧めしません。大人が小学生の目線(思考)に合わせて教えるのが基本です。
実力に余裕のある生徒がじっくりと時間をかけて(1年くらいかけて)文字式から学ぶのならばいいのですが、中途半端に方程式をかじると混乱するばかりで、良いことがありません。
以下の図を見てください。
お分かりでしょうか。「濃度が12%」というのは、言い換えれば「食塩水の中の食塩が12%」という意味でしたね。であれば、全体100%から食塩水の12%を引いて、「食塩水の中の水の割合は88%」ということになります。これは、Page2に書いてあることが、本質的に理解できていれば、イメージが湧くはずです。
というわけで、水814gは全体の88%にあたるので、食塩水全体を出すためには、814を0.88で割ればいいですね。部分が分かっている時に、全体を出すためには、「部分÷割合」で出るんです。これが分からなければ、Page3に書いてある「全体・部分・割合の関係式」を復習してください。
$$814÷0.88=925g(食塩水)$$
$$925-814=111g(食塩)$$
(1) 513g、5%
(2) 35g、215g
(3) 10%
(4) 7%
(5) 162g
(6) 111g、925g
数値と文言を変えた問題です。上の問題が解けなかった生徒は、この復習問題も解いてください。解説は割愛します。
(1) 220,12
(2) 102,498
(3) 12
(4) 3.5
(5) 680
(6) 77.7,350
いかがだったでしょうか?『食塩水を混ぜない問題』はここまでです。次のページ以降は、2種類以上の食塩水を混ぜる問題に入ります。
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食塩水の問題を探してたどり着きました。
ビーカーBは、濃度18%の食塩水なので、
食塩の量は102gではなく108gではないでしょうか。
(1)の答えは、13%ではないかと思います。
ご指摘ありがとうございます。
『等量交換』『やりとり』のPage12の最初の問題ですね。申し訳ありません。ご指摘の通り、サイトの答えが間違っていました。
訂正しておきました。ありがとうございました。
よくわかりましたこういうのをたくさん投稿してくれると嬉しいです