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(1) ① 35人 ② 10分
(2) ① 20L ② 6分40秒
**ご両親へ** ニュートン算は「数値のやり取りの意味を理解する」ことと同時に「クリアに定式化された解法」が必要になります。理解と技の両方が必要ということですね。その意味で、慣れるまでは【ニュートン算の基本図】と【条件のまとめ】をしっかり書くことをお勧めします。また方程式を使って教えるのはお勧めしません。
僕の生徒が書いたノートを載せます。
このように解ければよいでしょう。では順番に説明していきます。
前のページ『入場ゲート』で説明したように、まずは【ニュートン算の基本図】を書いてみましょう。「何をしていいのか分からない」「問題の意味が分からない」という生徒は、この図を書くことから始めてください。問題が整理されて、分かりやすくなります。
簡単ですね。増える人を○、出ていく人(行列から出て遊園地に入っていく人)を□としています。□はゲート1か所から1分で出ていく人数です。
次に【条件のまとめ】を書きましょう。ここでいう『条件』とは「もし〜だとしたら、・・・になる」とか「〜の場合、・・・になる」というようなものです。
この問題では条件が2つありますね。「入場ゲートが1つの場合、80分後に行列がなくなる」「入場ゲートが3つの場合、24分後に行列がなくなる」の2つです。
1つ目の条件では、2400人たまっていた行列が80分でなくなるのですから、2400÷80=30人/分となります。行列にならんでいる人数が1分で30人ずつ減っていくという意味です。
同じように、2つ目の条件では、2400÷24=100人/分となります。行列にならんでいる人数が1分で100人ずつ減っていくんですね。
ここまでで、ノートは下のようになっているといいでしょう。
ここまでは問題文に書いてあることをまとめるだけです。解き方が分からなくても、「これは無理!」とすぐに諦めるのではなく、ここまではなんとか進めてみることが大切です。
さて、ここからは少し工夫が必要になります。
2400人が80分でいなくなるということは、1分で30人ずつ行列に並んでいる人数が減っているということですね。これはゲートを通る人数が毎分30人という意味ではありません。ゲートを通って出ていく人数と入ってくる人数の差が30人ということです。
つまりこのような式が成り立ちます。
$$□ − ○ =30$$
このとき、行列の人数は減っているのですから、入ってくる人数より出ていく人数が多いはずなので、□から○を引く必要があります。逆にしないように気を付けましょう。
同じように、ゲートが3つの場合も、このように式にあらわすことができます。
$$□ + □ + □ − ○ =100$$
このことを下のようにまとめることができます。
2つの式の差を考えると、□の2つ分が70になることが分かります。したがって
$$□ = 35人/分$$
これで□の値が分かりました。そして□の値が分かれば○も分かります。
□ – ○ = 30という式の 、□のところに35を入れて
$$35 − ○ = 30$$
$$○ = 5$$
これでニュートン算の要(大切な所)である、「入ってくる量」「出ていく量」「たまっている量(行列)」の全部が分かったことになります。こうなってしまえば、もう簡単です。分かったことを図にまとめておきましょう。
①の問題はもう終わっていますね。答えは35人/分です。
②の問題に取りかかりましょう。【基本図】をしっかり書いて、○と□が出ていれば、簡単に解けます。
ゲートは7つになるのですから、ゲートを通る人数は、1分間に245人になるはずです。
$$35 × 7 = 245人/分$$
しかし毎分5人のペースで新しく行列に並ぶ人がいますから、実際に行列から減っていく人数は、差し引き毎分240人になります。
$$245 − 5 = 240人/分$$
毎分240人ずつ行列が減っていくので、最初に2400人いた行列は10分でなくなります。
$$2400 ÷ 240 =10分$$
したがって答えは10分です。
最終的に、上に載せたようなノートが書ければよいでしょう。
行列と入場ゲートの問題でも、水槽とポンプの問題でも、やることは変わりません。(1)と同じように解いてみましょう。
まずは【ニュートン算の基本図】と【条件のまとめ】を書くようにしましょう。最終的に下のようなノートが書けていればいいですね。
上の図を見て理解できる人は、解説は必要ないですね。図を書かなくても解ける人は省略しても構いませんが、計算式を丸暗記することのないように気を付けましょう。
では1つずつ説明していきます。まずは【ニュートン算の基本図】を書きましょう。
問題文に書いてあることをそのまままとめるだけですね。□はポンプ1台で1分に排出できる量(出ていく量)を表しています。
次に【条件のまとめ】を書きます。
1つ目の条件を見てみましょう。たまっていた水3600Lが30分でなくなるということは、毎分120Lずつ減っていくということですね。これはポンプ2台から120L出ていくという意味ではありません。ポンプ2台から出ていく水と、入ってくる水の差が120Lという意味です。
同じように、2つ目の条件を見てみましょう。たまっていた水3600Lが9分でなくなるので、毎分400Lずつ減っていることになりますね。ポンプ6台から出ていく水と、入ってくる水の差が400Lという意味です。
1分間で入ってくる水を○、ポンプ1台から1分間で出ていく水を□としたので
このように表すことができます。(1)の問題と違って、□の数が多くなってしまうので、かけ算で表しています。
いわゆる「消去算」をすれば、□4個分が280Lにあたると分かります。
$$280÷4=70$$
ポンプ1台のパワーは70L/分ということになります。ポンプ1台で、1分間に、70Lの水をくみ出せるという意味です。
□が70と分かれば、□×2-○=120の式の、□のところに70を入れて
$$70×2-○=120$$
逆算をして
$$○=20$$
入ってくる量が20L、出ていく量がポンプ1台あたり70Lと分かりました。ここまでで正解が決まったようなものです。というのも、ニュートン算の3要素(大切なポイント)である「入ってくる量」「出ていく量」「たまっている量」の全部が分かったからです。
②の問題を解きましょう。
ポンプ8台を使うので
$$70×8=560L/分$$
これはポンプ8台から1分間に出ていく量です。これとは別に1分間に20Lが入ってきているので
$$560-20=540L/分$$
差し引きして、1分間に540Lが、たまっていた水から減っていくことになります。
$$3600÷540=\frac {3600}{540}=\frac {20}{3}=6分40秒$$
この問題のように秒まできかれる時は、答えが分数になるときです。こういう秒をきかれたときの分数の分母は、3か5になる場合が多いです。
上の問題が解けなかった生徒は、解説をよく理解した上で、下の数値替え問題にチャレンジしてみましょう。解説は割愛します。解答は下にあります。
(1) ① 70人 ② 1分48秒
(2) ① 15L ② 46分40秒
(1) ① 40人 ② 5分36秒
(2) ① 15L ② 25分40秒
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