引用:『ぼくたち一家は、まるで、小さなヨットで、大海を航海しているようなものでした。だから、力を合わせ、いつもしっかり目を前に向け、注意深くかじをとりながら、生きていかなくてはなりませんでした。でも、そうなったいま、ぼくは、はじめて生きていくことの意味が、少しずつ分かりかけてきたように思えます。その後も、パパの体は、ますますちぢんで、とうとう、三・五センチの虫ぐらいな体になりました。うっかりして、小さなパパを足でふみつぶしたりしたら大変なので、ぼくは、むかし、ぼくがスズ虫を飼っていたかごの中にパパを住まわせることにしました。』