一番多いのは「4分の1」を利用する問題です。まずは小数をすぐに分数に置き換えられるように、暗記する必要があります。
暗記は小学生は得意ですから、それほど苦労することもないと思いますが、「小数でもできるから小数でやる」という意識を捨てないと、絶対にできるようになりません。「4分の1」の利用は必須です。
では僕がいつも生徒に教える手順通りに、会話形式で進めます。
僕「君、4分の1を小数で言うと、いくつか知ってる?」
生徒「う〜ん…」
僕「じゃあ、割り算で求めてみて」
生徒「4分の1は、1÷4だから…」
こんな感じです。分数は『分子÷分母』で小数にすることができます。
僕「じゃあ1÷4を筆算すればいいでしょ」
生徒「そっか。できた!0.25だ!」
僕「よし、じゃあこうやってノートに書いて」
僕「よし、じゃあ4分の2は?小数で言うと?」
生徒「4分の2って、2分の1でしょ。0.5に決まってるじゃん」
僕「そうだね、じゃあそれもノートに書いて。こう。4分の2も、2分の1も、両方書いて」
僕「よし、じゃあ次は?」
生徒「分かってる、どうせ次は4分の3でしょ」
僕「そうそう」
生徒「筆算するんでしょ?」
僕「してもいいけど、4分の3って、4分の1と4分の2を足したものでしょ?今書いたノート見て」
生徒「ああ、0.25と0.5を足せばいいか」
僕「そうそう、じゃあ書いて」
「4分の2=2分の1を書かせること」「4分の3は、4分の1と4分の2を足せばいいということを実感させること」がコツです。
僕「じゃあ最後」
生徒「4分の4でしょ。それって1じゃん」
僕「そうそう。それで終わり。書いて」
完成です。
僕「じゃあ、ここで約束。今後、0.25と0.75が出てきたら、筆算じゃなくて、4分の1と4分の3っていう分数で計算すること」
生徒「え〜、忘れそう」
僕「ダメ!小数のまま計算したら、答え合っててもバツにするから」
生徒「え〜、だって小数でやっても間違ってるわけじゃないんでしょ?」
僕「間違ってないけど、これから0.25と0.75が何回出てくると思う?その度に小数で筆算して、しかも計算間違いしたら、どれだけ損だと思う?こんな便利なことないんだから、最初だけ面倒に感じても、絶対に分数で計算するように!小数でやったらバツにするから!」
生徒「う〜、わかりました」
少し理不尽に感じるかもしれません。ですが、今後この方法を使うと約束させることが大切です。
今までの方法の方が、心理的に楽だからといってそちらに執着してしまうと、いつまでたっても計算力が上がりません。ミスはするし、遅いし、何もいいことはないです。
例えて言えば、ネットでお金のやりとりができるのに、銀行の窓口で通帳と印鑑で取引をしているような感じでしょうか。子供にも伝わるように例えるならば、
僕「君がやってるのは、そこに自転車が置いてあるのに、自転車の乗り方が分からないからって言って、歩いていくっていう感じ」
生徒「え〜、自転車に乗るとか余裕じゃん」
僕「そうだろ?最初にちょっと練習すれば誰でも乗れる。すぐそこのコンビニまで行くんだったら、歩いてでもいいかもしれないけど、隣町まで行くんだったらどうなる?歩いて行ったら夜になるまでにつかないぞ」
生徒「隣町までって歩いてどのくらいかかるかな?」
僕「単なる例えだからさ。実際どのくらいかかるかは、今日は考えなくていいよ。僕が言いたいのは、最初はちょっと大変でも、楽な練習して使えるようになろうってこと。」
生徒「わかったよ。」
では実際に、Page1で紹介した、SAPIXのテストの計算問題を解いてみましょう。
$$(2) (▭+\frac {5}{18})×0.75+\frac {3}{40}÷1.2=1$$
まずは小数を分数に直してしまいます。
$$(▭+\frac {5}{18})×\frac {3}{4} +\frac {3}{40}÷\frac {6}{5} =1$$
この時点で、0.75を100分の75などとしていませんか?0.75は一発で4分の3と変換できるようにしましょう。$$(▭+\frac {5}{18})×\frac {3}{4} +\frac {3}{40}×\frac {5}{6} =1$$
$$(▭+\frac {5}{18})×\frac {3}{4} +\frac {1}{16} =1$$
$$(▭+\frac {5}{18})×\frac {3}{4} =\frac {15}{16} $$
$$(▭+\frac {5}{18}) =\frac {15}{16}×\frac {4}{3} $$
$$▭+\frac {5}{18} =\frac {5}{4} $$
$$▭ =\frac {5}{4}-\frac {5}{18} $$
$$▭ =\frac {45-10}{36} $$
$$▭ =\frac {35}{36} (答え)$$
次のページでは「8分の1」について、同様な方法で勉強します。