自作教材 算数 小5 小6 中学受験 立体図形

立体の切断について

Page 3 立方体の中点を通る切断 ①

  • 難易度★☆☆☆☆(1/5)
  • 下に【解答】と【動画解説】と【解説】があります。
  • 問題をプリントとして印刷できます。

【問題】

(1)

上図じょうずのような立方体りっぽうたいを3つの点P,Q,Rを通る平面で切断せつだんします。その切断面せつだんめん図中ずちゅうに書き入れ、その図形の形を答えなさい。ただし、点P,Q,Rはそれぞれ、辺AE,BF,CGの中点ちゅうてんです。

 

(2)

上図のような立方体を3つの点A,S,Tを通る平面で切断します。その切断面を図中に書き入れ、その図形の形を答えなさい。ただし、点S,Tはそれぞれ、辺DC,BFの中点です。

 

 

【解答】

(1) 

正方形

 

(2)

長方形

 

【解説

立体りったい切断せつだんは『図形ずけいのセンス』が必要ひつようだ」などと言われることがありますが、それはまちがっています。立体の切断にセンスは必要ありません。

立体の切断に必要なのはセンスではなく、ひとつひとつの知識ちしき順番じゅんばんにしっかりおぼえていくことです。そういう意味いみでは、暗記あんきちかいですし、あせらずにひとつひとつ理解りかいしていけばだれでもできるようになります。

気を付けてほしいのは、いきなりむずかしい問題をかないことです。かんたんなものからみ上げていくことが大切たいせつです。前ページの内容を理解してから、このページの問題に取り組んでください。

 

 

(1)

立体りったい切断せつだんにおいてまず最初さいしょにすることは、『通ることがわかっている2点が、もとの立体の同一どういつ平面上へいめんじょうにあれば、それをむすぶこと(手順てじゅん1)』です。これは立体の切断の基本きほんちゅうの基本です。

注意ちゅういしてほしいのは、ここでの同一平面上とは、元の立体の外側そとがわ面上めんじょうのことです。元の立体の内側うちがわを通っているような面ではダメです。

一つずつ見ていきましょう。

問題文にある3点のP,Q,Rのうち、点Pと点Qに注目ちゅうもくします。

この2点は、もとの立方体の前側まえがわめんABCDの上にのっています。これをもとの立体の同一どういつ外面上がいめんじょうにある』ぶことにします。これをつなぎます。

次に、点Qと点Rに注目ちゅうもくすると、これも右側みぎがわめんBFGCの上にのっていますね。つまりもとの立体の同一どういつ外面上がいめんじょうにある』と言えます。ですから、これをつなぎます。

つぎですが、のこった点Pと点Rを、そのままつないでもよいでしょうか?ためしにつないでみましょう。

点Pと点Rをむすんだのが青いせんですが、これはいけませんね。青線あおせんが元の立方体の中をつらぬいてしまっています。『切断面のへんもとの立体の内部ないぶとおっていてはいけない(ルール1)』というのをおぼえているでしょうか。わすれている生徒は前ページ見直みなおしてください。

前のページで説明せつめいしたのですが、切断面せつだんめんは大きさが無限むげんなので、途中とちゅうで切るのをやめるのはダメなんです。を見れば、青線の所で切ることをめてしまっているのがわかりますね。

青い線はして考え直しましょう。もう『通ることがわかっている2点が、もとの立体の同一どういつ平面上へいめんじょうにあれば、それをむすぶこと(手順てじゅん1)』はできないので、『すでにわかっている点を始点してんにして、かいがわめんにあるせん平行へいこうになるように、線をひく(手順2)』という手順にすすみます。むずかしそうに聞こえますが、そんなことはありません。

上図じょうずのように、面BFGCと面AEHDはかい合っていますね。この2面は平行へいこうです。

ですから、QRと平行になるように、点Pからはじめて線を引きます。それが赤線あかせんです。赤線とへんDHがまじわったところに新しい点ができますね。それを点Iとめます。

QRとPIは平行になっているので、Iは辺DHの中点ちゅうてんになります。点P,Q,R,Iは、全部ぜんぶ中点ですね。

あとは簡単かんたんです。新しい点Iができたのですが、点Iと点Rは、どちらもうしがわの面DHGCの上にのっています。ですから、手順てじゅん1にもどって、点Iと点Rを直接ちょくせつつなげばわりです。

 

この切断面せつだんめんIPQRは、底面ていめんHEFGとや上側うえがわの面DABCと平行で、しかも合同ごうどうですね。合同というのは、形も大きさもまったく同じという意味いみです。

立方体りっぽうたい外側そとがわの面は、全部が正方形なので、切断面も正方形と言えます。

すべてのへんが同じ長さで、すべてのかくが90度だから、正方形である、とも言えますね。

 

(2)

これまでとやることはわりません。まずはとおることがわかっている2点が、もとの立体の同一どういつ平面上へいめんじょうにあれば、それをむすぶこと(手順てじゅん1)』をするんでしたね。問題にしめされている点A,S,Tのうち、同一外面がいめん上にある点をさがしましょう。

上図じょうずのように、上側うえがわめんABCD上に、点Aと点Sの両方りょうほうがのっているので、同一どういつ外面がいめんじょうにあるといえます。これをそのままつなぎます(赤線あかせん)。

次に、上図のように、うしがわめんDHGC上に、点Sと点Tがのっているので、これをつなぎます。

その次に点Aと点Tに注目ちゅうもくします。上図の青線あおせんのように、直接ちょくせつつないではいけないんでしたね。切断せつだんめんへんもとの立体の内部ないぶとおっていてはいけない(ルール1)』というルールをおぼえているでしょうか。直線ATがもとの立方体の内部ないぶつらぬいてしまうので、そのままつなぐことはできないんです。

そこで、青線をして、次の手順てじゅんすすみます。

『すでにわかっている点を始点してんにして、かいがわめんにあるせん平行へいこうになるように、線をひく(手順2)』ですね。これの意味いみがわからない生徒は、前ページの(2)とこのページの(1)をよく読んでください。

上の面ABCDと、下の面EFGHは、かい合っている平行の面です。

切断面せつだんめんは点Tを通ることがわかっているのですから、点Tを通って、直線ASと平行になるように、面EFGH上に線をひきます(上図じょうず赤線あかせん)。

この時、向かい合う平面上へいめんじょうには相似そうじの三角形ができることに注意ちゅういしてください。

上図は、立体の上の面と下の面を、真上まうえから見たものです。こうして見た時に、三角形DASと三角形HETが相似になるということです。相似なので、できあがる三角形のたてよこが同じになります。

今回こんかいの問題では上下の三角形が、相似そうじであるだけでなく、合同ごうどうになります。相似というのはかたちが同じという意味で、合同というのは形と大きさの両方りょうほうが同じという意味いみです。

もう一度、順番じゅんばん説明せつめいします。

もともとできている三角形DASのたてDAとよこDCのは2:1なので、下の面にできる三角形の縦と横の比も2:1になるということです。

今、下の三角形の横の長さHTはDSと同じ①だとわかっているので、縦の長さもDAと同じ②になります。すると、Tから引いた線が自然しぜんとEを通ることがわかります。

このようにして切断面はEを通ることがわかったので、あとは『通ることがわかっている2点が、もとの立体の同一どういつ平面上へいめんじょうにあれば、それをむすぶこと(手順てじゅん1)』もどることができます。

EとAは同一どういつ平面へいめん上にあります。AEFB上でもありますし、DHEA上でもありますね。EAが2つの平面へいめんまじわる線になっているからです。

同一平面上にあるのですから、EとAはそのままつないでしまってかまいません(上図じょうず赤線あかせん)。

これでできました。切断面はAETSですね。

この切断面の四角形AETSは特殊とくしゅな四角形と言えるでしょうか。

まずは、ASとETは平行です。そうなるようにいたのですから当然とうぜんですね。またAEとSTも平行です。かい合うへんくみが平行ですから、AETSは平行四辺形というところまではわかります。

つぎに、対角線たいかくせんを見てみましょう。ATとESの長さはひとしいですね。平行四辺形だということがわかっていて、さらに対角線の長さが等しいのですから、長方形か正方形だとわかります。

最後さいごに、となりへんの長さASとAEの長さが同じかどうか、見ていきましょう。

今、AEとADは同じ長さです(赤線あかせん)。またADとASを比べると、ASの方が長いですね。ということは、AEとASを比べても、ASの方が長いということになります。

長方形か正方形だと分かっていて、となり合う辺の長さがちがうのですから、AETSは長方形だと決まります。

 

上図じょうずのようなながれで、四角形の形をめてもよいでしょう。このような順番じゅんばんで見ることで、少しずつ可能性かのうせいしぼっていくことができます。

もう一度まとめると、今回の切断面の四角形は

  • かい合うへんくみが平行
  • 対角線たいかくせんの長さがひとしい
  • となり合うへんの長さが等しくない

という特徴とくちょうがあるので、長方形だとわかります。

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