僕はSAPIXの小学生を指導する機会が多く、多くのご家庭の勉強方法を知り、どうすればSAPIXで上位を維持できるのか、逆にどういうご家庭(どういう勉強方法)では伸びないのか、ある程度分かってきたつもりです。
だからといって自分の子をしっかり導けるかは別問題です。医者の不養生ではないですが、忙しすぎて我が子と過ごす時間は週末含め朝晩30分程度しかありません。どのご家庭も直面する問題として、子供は親の言うことを聞かないですし、親も子供に対して感情的になってしまい、勉強が嫌いになってしまうという可能性もあります。
そうした問題を抱えつつも、我が子の家庭勉強を上手く導けないようでは、生徒のご家庭にアドバイスすることもできないのではないかと漠然と感じていました。勉強で最も大切なのは塾でも学校でも家庭教師でもなく、家庭学習・自学なのに、その生活面・感情面のサポートを実際に経験していない家庭教師の意見は説得力を持ちようがありません。我が子が年長になり、本格的な勉強を始められる(SAPIXの入室テストを受ける)のは、とても嬉しいです。
今回は初めてのテストということで、移動・持ち物・待ち合わせといった実際的な面でも新鮮で、テストを終えて帰ってきた我が子が少し逞しく見えました。
最寄りのSAPIXの校舎に初めて入り、雰囲気を感じることができました。「ああ、僕の生徒達はこういう所で授業を受けているのか」「いつも僕の生徒達が話題にしている〇〇先生はこういった雰囲気の方なのか」という、普通の保護者とは違った視点で校舎内を観察しました。
テストを受けて帰ってきた我が子は、「うん、できたよ」「体験授業楽しかった」と言っていました。僕は知らなかったのですが、新1年生のテストの後には、ちょっとした授業をしてくれるようです。
「体を動かす習い事よりSAPIXの方が楽しかった」と言っていたので、そのように育ててきた身としては、シメシメといった所でした。塾や他の習い事との関係については、いつかまた記事を書くことがあると思いますが、僕は習い事をやらせすぎたり、本気になりすぎることをよい事だと思っていません。
テスト結果については、上記画像の通りで、思ったよりできていました。事前に過去問を解いていったのですが、まだ集中力がなく、時間を測って厳密に練習させることはできませんでした。仕方なく過去問を1問ずつ区切って解かせた所、算数の後半の複雑な問題では、問題の意味すら分かってないようでした。親が噛み砕いて説明してやればちゃんと分かるのですが、新1年生であの複雑な問題条件を初見で理解するのはなかなか厳しいものがあると感じていました。
過去問は1つしか持っていなかったので、僕が上のような類題を作り、1ヶ月前から1日1題ずつ練習していきました。1日5分程度です(作るのは30分以上かかりますが)。
国語はひらがな・カタカナが読み書きできれば問題ないと思っていたので、特に対策はしていきませんでした。ひらがな・カタカナが時々左右反転しますが、本が大好きなので今後も(高学年になるまで・あるいは大学まで)国語で苦労することはないだろうと感じています。僕は国語が苦手な生徒にとにかく本を読むようにアドバイスするのですが、小学校中学年になってからだとなかなか良い読書が定着しません。小学校低学年までが勝負になります。この点に関しては、我が子を上手く導けたと思っています。
週に1,2冊は本を買い与えるのですが、すぐに読み終わり読むものがないと文句をいうので、新聞を取り始めました。読書や新聞に関してもまた記事にすることがあると思います。
入室基準は80点だそうです。新1年の生徒の枠には余裕があるはずなのに、こうした基準を設け制限するというのは、ひらがな・カタカナの読み書きできない生徒や勉強させる体制が整っていないご家庭をお断りするということなのだろうと思います。
都内ではSAPIXに入室すること自体が難しく、その対策として1年生(やその前)から入室させてしまう方法があります。1年生から入室するには、最低限ひらがな・カタカナがスラスラ読み書きできるということが前提で、逆にそれさえできれば、入室基準にはじかれることもなさそうです。
僕は小学校受験に意味を感じませんが、SAPIX入塾テストも同じです。小学校低学年まではガリ勉をさせてはいけないと思います。「最低限の読み書き」「興味関心」「勉強が好き(特に本が好き)」という気持ちを育てることが大切です。
小学1年生からSAPIXに入っている生徒を指導することもありますが、優秀とは限りません。勉強に飽きてしまっていたり、下の方のクラスにいることが当たり前になってしまって「自分はこのくらい」と悟ってしまい、自己肯定感が低い子も多いです。小さいうちは成長段階の差も大きいですし、無理をせず楽しめる範囲で勉強させることを意識していこうと思っています。