個別指導(プリバート)は成績が上がるのか

  • 個別指導、特にSAPIX系列のプリバートについて質問を受けることが多いので、ここにシェアしておきます。

 

2:1の個別指導は絶対にダメ

生徒2人に対して先生が1人の個別指導は個別指導ではありません。効果が薄いのでやめておいた方がよいです。

僕自身、2:1の個別指導をした事があるのですが、全く集中できません。講師は授業の最初に生徒の現状把握をします。『生徒がどんな問題を持ってきたのか』『成績はどんな感じなのか』『直近の授業内テストの結果はどうだったのか』『ご両親のご要望は何なのか』『家庭内の勉強はうまく回っているのか』などです。それらを解釈して「じゃあ今日はこんな感じで進めよう」と整理がつけてから授業を始めるわけです。これが2人同時に始まると全く整理が付かないまま、とりあえず生徒に何かしらさせなければならないので、ほとんどの場合考えることを停止して、ただ持ってきた問題を解かせて、それに答えるだけの授業になります。

そして単純に1人の生徒に教えている時間は半分です。さらに待っている方の生徒に指示を出したり、サボっていないかチェックしなければなりません。その授業内で何をしたのかの報告を2人分メモしておかねばなりませんし、もちろん教える問題を解かねばなりません。2人の生徒が全然違ったレベルであれば、教え方などが変わってきますので、都度頭を切り替えねばなりません。そうしたことで、2:1の授業を2時間もやれば、講師は大して教えていないのにクタクタになってしまいます。教える側の体感として、2時間の授業で実際に勉強内容に集中しているのは30分ほどです。

2:1の『個別指導』を2時間取るくらいであれば、1:1の指導を30分受けた方がましです。値段が高くても是非1:1の個別指導にして下さい。『とにかく家では勉強しないから』『家で長時間勉強させるのは親の負担だから』という意味で、長く預けたいという気持ちは理解できるのですが、2:1の個別指導は自習室や質問教室と大差ないので、そちらにした方がお金がかからなくて良いと思います。

 

1:1の個別指導ならばよいのか

1:1の個別指導であれば、ある程度の効果があると思っています。ただし講師の能力次第です。これは家庭教師でも同じです。またコロコロ講師が変わるのは論外です。生徒の得意な範囲・苦手な範囲を把握するためには何ヶ月か継続して指導しなければなりません。性格や家庭勉強の様子なども分かってきてやっとまともな授業ができるようになるものです。

SAPIX系列のプリバートなど、大手塾直系の個別指導教室ではひとまずその塾のテキストは指導できるはずですので、駅前などに乱立している個別指導塾よりはしっかり教えられる可能性が高いと思います。ただし塾の問題以外は教えられない(塾のテキストですら教えられない)という講師が一定数います。

プリバートではSAPIXのテキスト以外教えないと言われたとの話も聞きました。他塾のテキストを質問したいとか、マンスリーでSAPIXのクラスを上げたいので対策をしたいと思っても、『塾のテキストをしっかりやろうね』という答えしか用意できないということです。もちろん実際に問題を持っていけば、その場で教えてくれる講師が多数派だとは思いますが、クラスを上げるためにプロデュースしてくれるという感じにはならないと思います。

塾系列でない個別指導は酷いところが多い印象です。個別指導塾の経営者や塾長・室長はしっかりした経験があることが普通で、体験授業や面談ではしっかりした対応をしてくれたとしても、実際に教える講師が責任感のない学生や学力の足りない講師であることが多いです。単純に問題が解けない、SAPIXなどの塾特有の教え方を知らない、その場限り一緒に問題を解く、という講師が多いです。

一般的に個別指導の講師のレベルが低いのは仕方のないことだと言えます。個別指導は駅前などの良い立地にあり教室運営費がかなりかかっている上、組織が多くのマージンを取るので、講師はご家庭の支払う金額の半分程度(あるいはそれ以下)しか受け取っていません。平日の16:00~21:00など生徒が来る時間ずっと指導しても、家族のいる社会人が余裕を持って生活できる金額ではなく、学生のバイトか副業あるいは独立できない講師が在籍することになります。もちろん給与に頓着しない・生徒思いで・学力も指導力もある講師が在籍していることもあると思いますが、継続的にそうした講師を独占するのは難しいのではないでしょうか。

1:1の個別指導は場合によっては効果があります。ただし勉強・受験全体をプロデュースしてもらうというよりも、たくさん質問できる質問教室だと思った方がよいです。これは悪いことばかりでなく、ご家庭でしっかりお子様の勉強を管理して、毎回質問したい問題をはっきりさせて個別指導を受けるようにすれば、よい家庭教師に丸投げするよりもずっとよい結果が生まれることもあります。いずれにしてもある程度の先生に当たらなければ、個別指導で教えてもらってきたのに、よく分からないまま帰ってきたということになります。

 

プリバートについて

SAPIXのテキストに慣れているのがアドバンテージになります。塾ごとに解き方が違うので、SAPIXに慣れていない家庭教師に来てもらうよりは、効率が良いと思います。ただしこの金額になると、大手の家庭教師派遣センターなどでもある程度の講師を紹介してくれるので、微妙な所です。

受験期に過去問対策などをするのであれば、金額が上がることもあり、アドバンテージはないと思います。

 

個別指導の活かし方

  • 必ず1:1を選択すること
  • 良い講師が確保できないのであればやめる
  • 質問教室の延長と割り切って利用する
  • 勉強・受験全体はご家庭でしっかり計画・管理する
  • 『個別指導に行っているから大丈夫』と思わない=(『個別指導に行っているのに成績が上がらないのはおかしい』と思わない)

 

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ryuju