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ニュートン算(中学受験の算数)

Page5. 量の指定がひとつもない問題

  • 難易度★★
  • SAPIXのテキストでは『井戸水をくみ出す』あるいは『牧場にて』という名前になっている問題です。
  • 「入ってくる量」「出ていく量」「在庫の量」の全てが与えられていない問題です。
  • 具体的な数値がないので比で解くことになります。

問題

 

 

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解説

(1)

これまで通り、まずは【ニュートン算の基本図】を書いてみましょう。この作業をしないで「この問題解けない・・・」と頭を抱えてフリーズして(かたまって)しまっている生徒が多いです。まずは分かっていることを図示(ずし)することが大切です。

困ったことに、ニュートン算の基本図を書いてみても何も分かりません。なぜなら問題にはポンプの台数と時間に関することしか書かれていないからです。これがこのページの『量の指定がひとつもない』問題の特徴です。でも図を書くことで何も分からないということが分かりましたね。

このように量に関する情報がない問題はこのままでは解けません。そこでポンプ1台が1分あたりに排出(はいしゅつ)する量を1Lとおきましょう。これが1つ目のポイントです。ちなみにこれは何Lとおいても解けます(1Lにしないと計算が面倒になりますが)。

こうしたやり方は速さの問題で、一周の距離が出されていない池の周りを回るような問題でも使いますね。池の周りを走るA君・B君の速さも分からないような問題です。その場合、池の一周を自由に決めることで解くことができます。大体の場合はA君・B君が一周にかかる時間の最小公倍数でおきます。

さて、このようにポンプ1台1分1Lとおくと、問題文の【条件(じょうけん)のまとめ】を書くことができます。

  • ポンプ50台で96分かかったので、全部で4800L排出した
  • ポンプ70台で66分かかったので、全部で4620L排出した

ここまでで、ノートはこのようになっているはずです。

さて、ここでひと工夫(くふう)必要になります。量の指定のない問題の2つ目のポイントはここになります。

同じ泉を空っぽにしたはずなのに、70台の時は4620Lで済(す)んだのに、50台の時は4800L排出(はいしゅつ)しなければなりませんでした。この差の180Lは何でしょうか?なぜ50台の時の方が多く出さないと泉は空っぽにならなかったのでしょうか?

それはポンプ50台の時の方が30分長くかかっているので、その30分の間に180Lわき出してきたからですね。つまり、180÷30=6なので、この泉では1分間に6Lわき出していることになります。もちろんこれはポンプ1台1分1Lとおいた場合そうなるという意味です。

ここまででノートはこのようになっているはずです。

ここで3つ目のポイントです。それは「新しく分かったこと」を「これまでに分かっていること」に戻すということです。どういうことかというと

今、新しく1分で6Lわき出すと分かったので、それを

  • ポンプ50台で96分かかったので、全部で4800L排出した

という条件(じょうけん)に戻すと

96×6=576Lで、この96分間に576L新しくわき出したことが分かります。ということは全部で4800L排出(はいしゅつ)したうちの、576Lはわき出したものなので、もともと泉にたまっていた水は4800-576=4224Lだということが分かります。

これはもう一つの条件である

  • ポンプ70台で66分かかったので、全部で4620L排出した

に戻しても同じ結果になります。

泉全体の容量(ようりょう)は4224Lで、わき出しているのが毎分6Lなので、泉が空っぽになってから再びいっぱいになるまでには、4224÷6=704分=11時間44分かかります。これが①の答えです。

ここまでのノートは以下のようになっているはずです。

では②を解いていきましょう。【ニュートン算の基本図】がここまで整理できていれば、あとは簡単に解くことができます。ここで生徒が忘れがちなのは、ポンプ1台1分1Lとおいていたことです。つまり72台のポンプを使えば、1分で72Lを排出(はいしゅつ)するパワーがあるということです。

1分間に6L新しくわき出しているので、差し引きして、72-6=66Lが1分間に減っていく水の量です。泉全体が4224Lなので、泉が空っぽになるまでにかかる時間は4224÷66=64分=1時間4分ですね。これが②の答えです。

最終的にノートはこのように書けているといいでしょう。

 

(2)

基本的に(1)と同じ問題なので、簡単に説明していきます。説明不足だと感じる人は(1)の解説をよく読んでみて下さい。

まずは【ニュートン算の基本図】を書きます。これはニュートン算の問題では必ず書くようにしましょう。

馬が食べる草の量を1頭1日1tと仮定した(おいてみた)ことに気をつけて下さい。t(トン)でなく、kg(キログラム)でもいいですし、慣(な)れてきたら単(たん)に1とおいても構いません。問題文中に草の量に対する情報が全然ない場合、このように仮定して解くことになります。

次に【条件のまとめ】を書いていきましょう。条件(じょうけん)とは「〜の場合こうなる」「〜した時はこうなる」というような部分です。

この5460tと4320tの違い(1140t)は何だろうと考えるところが、この問題のポイントです。どちらの場合も、馬は草地の草を全部食べたのですが、45日と65日では新しく生えてくる草の量が違いますね。この差の20日の間に生えてきたのが、1140tということになります。

そこから1日に生えてくる草の量を求めることができます。1140t÷20日=57t/日となります。馬は1頭で1日に1tの草を食べるのですから、57倍ですね。これが①の答えです。ここまででノートは以下のようになっているはずです。

1日で生えてくる草が57tと分かったわけですが、次はこの新しく分かったことを【条件に戻す】ことが大切です。

  • 馬96頭は 45日で 4320t食べる

という条件に戻って考えると、45日×57t=2565tより、この45日で2565tの新しい草が生えてきていたはずです。つまり4320t-2565t=1755tなので、もともと草地に生えていた量は1755tだっということになります。ここまでまとめると以下のようになります。

ここで【ニュートン算の基本図】を見ると、全ての数値(すうち)が埋(う)まっていることが分かります。これは勝ちが決まったような状態(じょうたい)です。将棋(しょうぎ)で言うと、詰(つ)んでいる状態ですね。

②を解いていきましょう。1755tを39日でなくしたいのですから、1755t÷39日=45t/日より、1日につき45tずつ減らす必要がありますね。1日に57t新しく生えてくるのですから、45t+57t=102tより、1日で102t食べる必要があります。

ここで、馬が食べる草の量を1頭1日1tと最初に仮定(かてい)したことを思い出してください。つまり1日で102t食べるためには、馬は102頭いなければなりませんね。これが②の答えです。

以上を解き終えてノートは以下のように書けているといいでしょう。


解答

(1) ① 11時間44分 ② 1時間4分

(2) ① 57倍 ② 102頭

 


数値替え問題1

上の問題が解けなかった生徒は、解説をよく理解した上で、次の数値替え問題にチャレンジしてみましょう。

解説は割愛します。解答は下にあります。

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数値替え問題1の解答

(1) ① 3時間 ② 50分

(2) ① 20倍 ② 140頭

 


数値替え問題2

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数値替え問題2の解答

(1) ① 2時間27分 ② 1時間38分

(2) ① 5倍 ② 65頭

 


いかがだったでしょうか?間違いがあればコメントかメールでご指摘ください。その他にもフィードバックがあれば助かります。

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