指導所感SAPIX6年生7月④【SAPIXの下位クラスと苦手の解消】

僕の生徒はSAPIX生がほとんどです。SAPIX生の中では、Aクラスからアルファ1まで様々なクラスの生徒を教えています。

各学年にSAPIX偏差値が70くらいのトップクラスの子が1,2人いて、数人がアルファを行ったり来たりしており、残りの生徒は下位~中位のクラスから上がろうと頑張っています。

ところで、SAPIXは下の方のクラスにいては意味がないとか、先生たちが手を抜いているとか、上の子たちの『養分(搾取される側)』になっているなどということをよく聞きます。

長年SAPIX生を教え、SAPIXの内部の話も聞いてきましたが、僕はそうは思いません。確かにクラスが上がるほどベテランの先生に担当してもらえるようになりますが、それはどの塾でも同じですし、下のクラスの子への対応が冷たいとも思いません。SAPIXの先生のレベルがそもそも高いので、下のクラスを担当している先生であっても、他塾に劣るとは思いません。

毎週やるべき宿題をしっかりこなしていれば、基本的にAクラスが続くということはないはずです。ですから4,5年生であれば、勉強習慣を見直せば、十分に逆転可能です。その際、大切なのは下位クラスでいることをSAPIXのせいにしないことです。誰もが同じ条件で戦っているのですし、塾に相談しても、塾の宿題をしっかりやっていない生徒に対しては、アドバイスのしようがないでしょう。

また僕の見る限り、Aクラスの子は勉強の才能がないのではなく、やるべきことを日々こなしていく体制が整っていないだけです。親子で勉強のルーティンを見直して、まずは塾の宿題をしっかりこなすことです。

そうはいっても、率直に言って、6年生のこの時期(7,8月)でAクラスが続くようだと、SAPIXに通い続けなくてもよいかもしれません。というのも、すでに分からないこと・知らないことが溜まりすぎていて、塾での新しいテキストがチンプンカンプンになっているはずだからです。塾での授業も分からなさすぎて、ボンヤリ受けているに違いありません。そうした勉強の癖が付くのは、将来のためにもよくありません。

そうした6年生の生徒がやるべきことは、4,5年生の勉強のやり直しです。ほぼ理解できていないはずですから、0から新しくやるという感覚になります。

僕もこの時期に、決定的に遅れてしまった生徒の指導を依頼されることがあります。その際に「かかる時間を短く見積りすぎないこと」をお願いしています。4,5年のテキストをどこからやり直すかによりますが、1回分のテキスト(4,5年のころ1週間でこなしたテキスト)で1冊2時間くらいかかります。それが1教科で何十冊も理解不足のまま放置されているのです。一周するだけでも膨大な時間がかかります。

ましてや薄っぺらい『〇〇週間で総復習』のような問題集を1冊やって取り返せると思わないことです。腹を決めて、背水の陣で、親子のすべてのリソースを割いて取り組むことです。6年の夏はそれができる最後のチャンスです。

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ryuju