算数を教えていると、小学生がおかしな表記をすることがあります。
簡単な例で言えば、(2000-500)×2を解くのに以下のように書いていることがあります。
あるいは2000-500=1500×2=3000などと書く子もいます。
もちろん大人が見ると気持ちが悪いです。僕も若い頃、こうした書き方はおかしいから改めなさいと指導したことがありました。
ですが、今では数学的な表記の正しさを小学生に求める必要は全くないと思っています。むしろ、線の一本でも書く量を減らし、1秒でも時間を短縮するべきだと思っています。小学生の発達段階や考え方の癖に寄り添ったやり方をしてあげることで、気持ちよくミスなく解けるようになります。
【場合の数】の複雑な問題では、第一の場合が〇〇通り、第二の場合が〇〇通り、第三の場合が〇〇通りで、以上合計して答えは〇〇、というように求めることがありますね。
この時に、いちいち『通り』という漢字を書いているのは面倒くさすぎます。1秒もかからないかもしれませんが、頭の中で進行している流れが妨げられるのがストレスになるんです。とはいえ、数字を裸でそのまま書くと、他の計算などと混じってしまい間違いの元になります。
こういう時は、『とーり』とひらがなで書いたり、『T』とアルファベットで書いたり、『と』とだけ書いたりします。これは全て「SAPIXの先生がこうしているよ」と生徒から教えてもらったものです。算数の先生がこうした書き方をするのには意味があります。
もちろん、楽な書き方をするのは、雑に書くのとは違います。むしろ簡単な表記にすることできれいにスッキリ書くことができるようになるがメリットです。
あと、面倒なのは『最大公約数』と『最小公倍数』ですね。これについては僕は何年も悩んでいました。そのまま書くのは大変すぎますし、高校数学で利用する先生がいるように、GCD(Greatest Common Divisor)とLCM(Least Common Multiple)とするのは、意味がスッと頭に入ってきません。
結果、たどり着いたのが、『大約』『小倍』と表記することです。意味からすると『公』を付けたい所ですが、割愛しています。
あとは【食塩水】の問題で、食塩水・食塩・水を書く必要がある時、明らかに『食』は省略可能です。塩を漢字で書くのは面倒なので、『し』と書いてしまいます。
【損益算】では、『原価』『定価』『売値』を整理することが大切ですが、『げ』『て』『う』です。
【流水算】では、『上り』『静水時』『下り』のスピードを書きますが、『上』『せ』『した』です。
これらは、思いつきで楽をしているわけではなく、考え抜いた結果こうなっています。テスト中に突然やってみるのではなく、普段から慣れておいて、『せ』は『静水時の速さ』を表すのだと自然と理解できるようになっておくことが大切です。