⇩基礎的な図形知識の確認と反復練習におすすめの問題集です⇩
(1) 下図の三角形ABCの面積を求めなさい。(高さが外側にある三角形の面積)
(2) 下図の灰色の部分の面積を求めなさい。ただし、AC=9cm、BD=7cmです。(矢印の形)
(3) 下図の五角形の面積を求めなさい。ただし、AB=24cm、BC=16cm、CD=15、DE=20cm、AE=9cm、角EAB=角ABC=角CDE=90度です。また下図の長さや角度は正確ではありません。
(4) 下図の三角形の面積を求めなさい。(30°、75°、75°の二等辺三角形の面積)
(5) 一つの角が150°で、それを挟む2つの辺が10cmと15cmの三角形の面積を求めなさい。ただし、下図の三角形の角度や辺の長さは正確ではありません。(150°の三角形の面積)
(6) 図の三角形の面積を求めなさい。(15°、75°、90°の三角形の面積)
(1) 12.5 (2) 31.5 (3) 450 (4) 6.25 (5) 37.5 (6) 32
三角形の面積の求め方はみんな知っていますね。もちろん『底辺×高さ÷2』です。
ですが、『三角形の底辺』がどこのことを指すのか、あなたは分かっていますか?簡単すぎて「こんなのやる必要ないよ」と思うかもしれませんが、かん違いしている人が多いんですよ。まずはここからしっかり理解しておかないと先に進めません。
今ここに三角形ABCがありますが、底辺はどこだと思いますか?
「かんたんじゃん!BCだよ!」と思ったあなたは、甘いです。間違ってはいませんが、正解でもありません。
正解は「ABとBCとCAのどれでも底辺にしてよい」です。『下にあって横に引かれた線』が底辺というわけではないんですよ。
さて、次に『三角形の高さ』がどこのことを指すか、考えてみましょう。上の図の三角形ABCにおいて、高さはどこになると思いますか?
答えは3つありますね。
ABを底辺とした場合、図中のECが高さになります。
BCを底辺とした場合、図中のADが高さになります。
ACを底辺とした場合、図中のBFが高さになります。
このように、底辺に含まれない点(底辺の向かい側にある点)から、底辺に対して90°になるように下ろした線が高さになるんです。このような線のことを垂線といいます。「ややこしいじゃん、高さは高さでしょ?」と思ってはいけません。ここを曖昧(いいかげん)にしてしまうと、この先いくら頑張ってもムダになってしまいます。
もう一度言います。底辺に含まれない点(底辺の向かい側にある点)から、底辺に対して90°になるように下ろした線が高さになるんです。いいですね。
ACを底辺とした場合を例にとって、もう一度確認してみましょう。
ACを底辺としているので、底辺に含まれない点とはBのことになります。Bから底辺であるACに90°になるように線を下ろすと、このように辺ACと交わりませんね。でもこれでいいんです。底辺の延長線と交わればそれでよいんです。交わる点はFですね。そして高さはBFとなります。
前置きが長くなりましたが、問題に戻りましょう。先ほど言ったように、三角形の辺ならば、どこを底辺としてもよいのですが、高さが分からないと面積を出すことができません。底辺と高さがセットで分かっているのがBC(5cm)と、Aから下ろした線(5cm)ですね。だから、そこを底辺と高さに決めるわけです。もともと底辺がそこに決まっているわけではないんです。
ABの12cmはひっかけです。使いません。
というわけで底辺5cm、高さ5cmなので
$$5×5÷2=12.5$$
このように、三角形の面積を考えるときには、底辺と高さがセットになっているところをさがすのが基本になります。
まずは2つの三角形に分けて考えましょう。
このように青い三角形と赤い三角形に分けましょう。
先に上の青い三角形の面積を求めていきましょう。
ACを底辺と考えると、高さは上図の ▭ のところになります。底辺を決めた後に、『底辺に含まれない点から、底辺の延長線上に垂直に下ろしたところ』が高さになるんでしたね。
言葉で言うとかなりむずかしいと感じますが、実はそれほどむずかしくありません。このことがしっかり分かっていないとこの問題は解けませんし、図形の問題全部が分からなくなります。自信がなければ(1)の問題の解説をよく読んでください。
▭ の高さは分からないので、 ▭ のままにしておくと、青い三角形の面積は
$$9× ▭ ÷2$$
となります。
同じように下の赤い三角形の面積も求めていきましょう。
こちらも底辺をACと考えます。そうすると高さは△のところになります。
赤い三角形の面積は
$$9×△÷2$$
ですね。
ここで ▭ と△をあわせると7cmになることがわかると思います。
では赤い三角形と青い三角形の面積を足していきましょう。
$$(9× ▭ ÷2)+(9×△÷2)$$
9÷2を先にしてしまいます。
$$=(4.5× ▭) +(4.5×△)$$
ここで分配法則を使います。
$$=4.5×( ▭ +△)$$
▭ と△を足すと7cmだったので
$$=4.5×7$$
$$=31.5$$
これが答えです。
分配法則については、この言葉は知らなくても、小学5年生で習っているはずです。『計算のくふう』という名前で習っているかもしれません。
このように矢印の形は、ACとBDをかけて2で割れば求められます。覚えておけば早く解くことができますが、『なぜそうなるのか』を分かっていなければ使ってはいけません。面倒かもしれませんが、上の解説をよく読んで『なぜそうなるのか』を理解しましょう。
上の(1)(2)と同じく、どの底辺がどの高さに対応しているのか、ということが大切になります。それを意識して補助線をどこに引くかを考えると、下図のようになります。
90度を挟むように底辺と高さを対応させることが大切です。この補助線を引いたことで、底辺と高さが分かる三角形ECDができあがりましたね。
三角形ECDの面積は15×20÷2=150です。
残りの部分(四角形ABCE)も台形なので、簡単に面積を求めることができます。この四角形ABCEが台形だと言えるのは、AEとBCが平行だからです。向かい合う辺が1組平行であれば台形です。
ちなみに向かいあう辺が2組平行であれば平行四辺形になります。
台形ABCEの面積は(9+16)×24÷2=300になります。言うまでもありませんが、台形の面積は(上底+下底)×高さ÷2で求めます。
三角形と台形の面積を足して450㎠が答えとなります。
この図に補助線を入れてみましょう。
右下の頂点から、向かい側にある辺に、90°になるように補助線を引きます。このように90°になるように引く線のことを、垂線といいます。
すると元の三角形の中に、30°、60°、90°の三角形ができていますね。この三角形は三角定規の一方と同じ形をしていて、特別な三角形です。
このように90°の向かい側にある辺が一番長く、30°の向かい側にある辺が一番短くなります。そして一番短い辺の長さを2倍にすると、一番長い辺の長さになります。これは30°、60°、90°の三角形の時『だけ』使える性質です。いつでも使えるわけではないので注意です。
もとの図形に戻って考えると
90°の向かい側の辺が5cmなので、30°の向かい側の辺(赤で示した所)が2.5cmになっていることが分かりますね。
もとの図形を反時計回りに回転させてみましょう。
このようになっているのが分かるでしょうか。ここまで分かればもう簡単ですね。底辺5、高さ2.5の三角形なので、
$$5×2.5÷2=6.25㎠$$
この図に補助線を入れて、もとの三角形の外側にもう一つ三角形を作ってみましょう。
15cmの辺を延長し、そのあと左下の頂点から90°になるように線を引きます。このように90°になるように書いた線を垂線と呼びます。
こんな感じです。
新しく作った青い三角形は、わざと90°になるように作ったものなので、黒い角が直角になる直角三角形ですね。
この青い三角形だけを取り出してみましょう。
もとの三角形の150°の角の隣にある角は30°ですね。そして残りの角は60°になります。問題の図を見ると、そのように見えないことに注意が必要です。受験問題でかかれている図形は正確に書かれているとは限りません。
実際は①で説明したように30°、60°、90°の三角形は下のようになっているはずです。
一番長い辺は90°の向かい側にある辺で、一番短いのは30°の向かい側にある辺です。そして30°、60°、90°の三角形では、一番長い辺を半分にすると、一番短い辺の長さになるんでしたね。10cmの辺は問題に書かれているので、それを半分にすればよいですね。
これで30°の向かい側にある辺が5cmであることが分かりました。
もとの図形に戻りましょう。
これでもとの図形が底辺15cm、高さ5cmの三角形であることが分かりました。あとは簡単ですね。
$$15×5÷2=37.5$$
もとの図形のままでは解くことはできません。底辺と高さにできそうな数字もありませんし、15°はそのままでは使えないからです。
15°がよくないのですから、それを消す工夫をしましょう。つまり、三角形ABCと同じ形の図形を下側にくっつけることを考えます。
こうなります。この図形をよく見てください。実は(4)の問題と同じ75°,75°,30°の三角形であることに気がつきましたか?
わかりやすく書きなおしてみます。
このような75°,75°,30°の三角形は、90°を作るように補助線を引くのでしたね。
上図のようにA’から辺ACに、90°になるように補助線を引き、辺ACとの交点をDとしました。これでA’CDは30°,60°,90°の直角三角形になりました。
A’CはACと同じなので16cmです。30°の利用で、A’Dは16cmの半分の8cmになります。30°,60°,90°の直角三角形では、一番短い辺の長さは一番長い辺の半分になるのでしたね。
これが分からない場合は(4)の解説をよく読んでください。
ACを底辺として、高さをA’Dとすると、三角形AA’Cの面積は
16×8÷2=64
になります。
求める三角形ABCの面積は、AA’Cの面積の半分なので、64÷2=32より、答えは32になります。