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小学生の歴史の勉強の仕方

小学5年生は9月になると社会の勉強が歴史になりますね。「歴史ってどうやって勉強すればさせればよいか分からない」という声を、生徒のご両親からよく聞きます。

SAPIXなどの塾では、毎週こなさねばならない分量が決まっており、それに対する宿題があります。定期的なテストに合わせて総復習する必要もあります。計画的に進めないと回っていきませんし、早い段階で良いルーティンを確立しないとご両親の負担も大きくなっていきます。

この記事では、毎週こんな風に進めると、範囲をばっちり覚えられて、負担も少ないというやり方をご紹介します。

 


1週間の流れ

塾の社会の授業の間の1週間に家ではこんな流れで勉強しましょう。

(1) テキストを読む

(2) 問題を解く

(3) 間違いを直す

(4) 数日後、テキストを読み直す

(5) 前回間違えた問題を解く

(6) 間違いを直す

(7) 大きなテスト前に全て解き直す

ごく普通ですね。塾の進度に合わせると、この手順を通常1週間でこなす必要があります。

(1)(2)(3)を塾の翌日、2,3日後に(4)(5)(6)をやるのが良いと思います。

この流れだけ見ると、目新しい所はないですが、手順1つ1つの中にちょっとしたコツがあります。そこで変なやり方をしてしまうと、勉強の効果が大きく下がってしまいます。以下で1つ1つの手順を確認していきましょう。

 


(1)テキストを親子で一緒に読む

歴史ができない生徒(歴史が好きでない生徒)は、歴史を暗記科目だと思っています。ですが歴史の本質は暗記ではありません。歴史の本質は「お話」です。

原始時代、焚き火の周りに集まって、一家の長老が孫達に向かってお話をしている様子を思い浮かべてください。「私の前の長老はこんな人だったのだよ」「この村は昔、海の向こうから来た勇敢な人々が作ったのだよ」これが歴史です。historyとはstoryと本質的に同義なんですね。

子供と一緒にテキストをじっくり読みましょう。これが一番の基本です。文系科目が苦手な子は、この手順を飛ばしていきなり一問一答問題を解いたりしますが無意味です。

読書・社会が大好きで、点数も十分に取れている場合は、親と一緒に読まなくても良いですが、どうやって歴史の勉強を進めれば良いか、最初は子供も戸惑うことが多いので、当面は傍について進めるのがよいと思います。

歴史が苦手な生徒の場合、「もっとがんばりなさい」と叱りつけるだけで成績が伸びることはありません。まずは一緒にテキストを読むことから始めてください。

その際には以下のようなポイントを確認しましょう。

  • 全ての絵や写真や表や地図を見ながら進める

SAPIXはテキストの最初にカラーの写真が何枚も載っていますね。予習シリーズなどでも写真はたくさん掲載されています。まずは画像に付されている文から読むことです。大切な事項はテキストの本文に出ているからといって、画像下の文を読みとばしていませんか?画像と一緒に記憶する方がずっと効率的です。

  • 裏表紙やコラムなどをとばさずに読む

コラムなどを読み飛ばす人がとても多いです。時間に追われているのは分かりますが、重要事項(太字)の所だけ頭に叩き込んで、すぐに1問1答問題を解いて、「オッケー!」というような勉強では、歴史は絶対にできるようになりません。

最底辺の中学校で良いと言うのなら、そうした勉強法もいいでしょうが、一定以上の中学校で課されるような「考える問題」「分析する問題」「理由を問う問題」「記述問題」などに対応できるはずもありません。

  • 子供の疑問に答える

子供の素朴な疑問にできるだけ真摯に答えましょう。分からない場合は一緒に調べましょう。「なぜか」が一番大切です。子供が「何で?」と言ったらチャンスです。

先週、歴史の勉強を始めたばかりの小学5年生と一緒にテキストを読んでいた時、こんな質問を受けました。「先生、テキストに〇〇年にこんな出来事があったとか、〇〇時代には人はこんな生活をしているとか書いてあるけど、そもそも何でこんなことが分かるの?」と。

これをきいて僕は感動して、褒めちぎりました。そして「これはチャンスだ」と思いました。「こんな質問ができる子は歴史が得意になる」その後、僕は先史時代と有史時代について30分ほどかけて説明しました。

【歴史の教科書に書いてあることはなぜ分かるのか?】

歴史の『史』とは文字・文章のことなんだよ。だから先史時代は文字の記録が残っていない時代のことなんだよ。日本で言えば文字が伝わる前だね。文字がないから遺物で当時のことを想像するしかない。ほらここに縦穴住居の写真があるでしょ?これ、この家の形のまま出土したんじゃないよ。柱の跡なんかが残ってただけなんだ。そこから今の時代の人が「こんな家だったんじゃないか」って想像して、この縦穴住居を建てたんだよ。つまりは想像なんだ。間違っているところがあるかもしれない。

有史時代っていうのは、文字の記録が残っている時代だ。日本で言えば、木や金属に刻まれた漢字が一番古い文字でしょ。ほら、このテキストに金印の写真があるでしょ。そういった文字で残っているものは、基本的に本当だと信じて、歴史っていうものを作り上げてるんだ。でも、実際のところ、歴史書に書いてあることが本当だなんて保証はない。

前の王様を殺して自分が王様になった人がいるとするでしょ?そうするとその新しい王様は、「前の王様がひどい人だったから、自分は仕方なく殺して、人々に歓迎された」なんて都合のいいことを書くわけだよ。でもそれが本当だなんて保証は全くない。つまり有史時代に関する歴史だって、本当だなんて保証はない。

だからさ、先史時代も有史時代も、どっちの歴史も本当のこととは限らない。このテキストに書いてあることだって、数年経ったら変わってるんだよ。信じられないかもしれないけど、ほら、『相沢忠洋の前は日本には旧石器時代はないと思われていた』って書いてあるでしょ。でも実際には日本にも旧石器時代はあったんだよ。こういうことが歴史には起きる。実際僕が子供の頃と歴史の教科書は変わっているんだよ。

事実として過去に起こったことは変わらないはずなのに、歴史の教科書に書いてあることはどんどん変わっていく。それが歴史の面白いところだし、価値のあるところなんだよ。

  • 順番を意識させる

「なぜか」の次に大切なのが「順番」です。「なぜか」と「順番」を合わせて「因果関係」と言います。それをあるいは「歴史の流れ」と言ってもいいと思います。これが重要なのは言うまでもありませんね。

例えば卑弥呼と旧石器時代と三内丸山遺跡の順番が分かるでしょうか?これが分からないのは年号を暗記していないからではありません。年号を頭に叩き込むことで、こうした問題に対処しようとするのは歴史の本質から外れています。

【旧石器時代→三内丸山遺跡→卑弥呼】

旧石器時代は打製石器の時代だよね。石を砕いただけの石器ね。一番古いよね。

三内丸山遺跡は縄文時代の遺跡だったよね、縄文時代は新石器時代。新石器っていうのは磨製石器のことだよ。石器の表面をツルツルに磨いたんだね。切れ味を良くするために。三内丸山遺跡を調べて、縄文時代でもクリなんかを栽培してたんだって分かって、みんなビックリしたんだよ。三内丸山遺跡は植物の栽培をしていた遺跡としては初期のもので、まだコメは栽培されてない。そもそも青森では昔はコメ作れなかったんだけどね。

卑弥呼は女王でしょ。こういう王が出てくるのはコメを大規模に作り始めてからなんだよ。稲作で指導者が生まれる、貧富の差が生まれる、食料を保存する、保存した食料や水や土地を奪い合う、そうやって権力者が生まれてくるんだよ。

だから旧石器時代→三内丸山遺跡→卑弥呼だよね。

 


(2)問題を解く

この手順は親がべったりついている必要はありません。

  • 大まかに覚えたら問題を解く

上記のようにテキストをしっかり読んだら、問題を解きましょう。全て完璧に覚えてから問題を解く必要はありません。なぜなら完璧に覚えるようプレッシャーを受けると、子供は太線部や漢字を覚えるだけになるからです。

  • テキストの問題部分に直接書き込まない

これは社会に限ったことではありません。問題に直接書き込むということは復習しないと宣言しているようなものです。書き込んで提出するように指定されている場合と、裏面にも同じ問題が印刷されている場合を除き、絶対に書き込んではいけません

ただし、テキストの参考書部分(解説部分・まとめ部分・教科書部分)には、気づいたことをどんどん書き込みましょう。

 


(3)すぐに間違い直しをする

  • 大問1つごとに答え合わせする

一気に解いて、後で答え合わせをするのは良くありません。そうしたがる生徒が多いのですが、そうした生徒は絶対に伸びません。なぜなら宿題を終わらせることだけにとらわれて、自分の間違っているところを直そうという気がないからです。正解か間違いか気にならないということ自体、勉強の方向性が間違っている証拠です。

問題を覚えているうちに答え合わせをしないと、間違えた時にもう一度問題を読み直す必要が出て、時間が無駄になりますし、間違えた時の悔しさも半減してしまいます。その日のうちに答え合わせをするのは当然ですが、大問1つずつ答え合わせをするようにしましょう

本当は小問1問ずつでもいいくらいなのですが、自分で答え合わせをする場合は、次の問題の答えが見えてしまうので、やはり大問1つずつが良いと思います。

  • 場合によってはご両親が答え合わせをする

生徒が答え合わせをしっかり出来ない場合があります。とにかく早く宿題を終わらせたい一心で、答えを写したり、間違っている所も○にするような生徒です。そのような場合は、答えを預かった上で、大問1つごとに「終わった」と申告させて、答え合わせをしてあげてください。ご両親にはかなりの負担になりますが、これも『全部やらせて後からまとめて答え合わせ』というのではダメです。軌道に乗って自分で正しく勉強できるようになるまでは、ずっと隣に付き添うくらいのつもりで取り組んでください。

  • テキストに◯×をつけていく

テキストには答えを書き込まないようにするべき、と上に書きました。代わりにテキストには、問題番号の所に◯×を書き込んでいきましょう。何回もやり直すことを想定して、5、6個の◯×を付けられるように小さく書きましょう

  • 間違えたところはテキストの本文に戻って確認する

塾の問題に出てくるのは、ほとんど全てがテキスト本文(問題の解説ではなくいわゆる教科書部分)に載っている内容です。答え合わせが終わったら、間違えた部分をテキストに戻って「ここに書いてあった!」と確認してください。「ここに書いてあるのに注意して読んでいなかった」と自覚することが大切です。

  • 問題は全て解く

社会の問題というのは、算数や理科と違って、難しすぎて手が付けられないということはありません。塾内でのクラスによっては、全ての問題を解く必要はないと言われるかもしれませんが、社会は全てやるのがよいというのが僕の意見です。もちろん他教科を勉強する時間との兼ね合いがありますが、社会の成績を伸ばすという点に限って言えば、たくさん問題を解いて損はありません。

  • 全て漢字で書く

ひらがなで書いてもテストで丸を貰えたり、「漢字でなくてもよい」と塾の先生に言われることもありますが、僕は「全て漢字」「漢字でなければバツ」と約束しています。そうしないと、子供は全てひらがなで書くようになります。また「簡単なものは漢字で」などと指定すると、1問ごとに「これは漢字?ひらがな?」「漢字!」「え〜、ひらがなでいいじゃん!」と押し問答することになり、時間の無駄だからです。

実際、入試では漢字指定で出題されることもありますし、難しい漢字を書くのは国語の勉強にもなります。問答無用で「全て漢字」と決めるのがオススメです。

  • 記述問題は必ず解くが、時間をかけない

記述問題を飛ばす癖のついている生徒が一定数いますが、必ず書くようにしましょう。ただし、社会の記述は答えがほぼ決まっているものが多く、海城などの長い記述を例外とすれば、一問一答と大して変わらないものです。つまりほぼ暗記に属するものなので、あまり時間をかけずにサラッと済ませましょう。

 


(4)テキストを読み直す

  • 数日後に2回目のテキスト読みをする

問題を解き、○×を付け、一通り間違い直しをしたら、もう一度テキストを読み直しましょう。1回目に問題を解いた時から2、3日経っているのがベストです。問題を一通り解いた後なので、どういった所が出題されやすいかが分かるはずです。最初にテキストを読んだ時に、細かい部分を読み飛ばしていたことに気がつくでしょうし、気がつかねばなりません。

  • 2回目のテキスト読みで線を引く

一度目には大切だとは思っていなかった箇所、あるいは出題されて間違えた箇所に線などを引いてもいいかもしれません。ただし最初に読む時に線を引いたりマークするのはお勧めしません。一般に小学生はどこが大切か、一読して判断できません。問題として出題されて初めて分かるんですね。また引くことに夢中になって、それで勉強したと勘違いしてしまいます。

「社会のテキストちゃんと読んだ?」「読んだよ!だってマーカー引いてあるじゃん」こんな不毛なやりとりが起こりがちです。マーカーを引いたからといってしっかり読んだ証拠にはなりません。マーカーを引くのは、本当に必要だと思った所のみ。またマーカーよりも文字で気づいたことを書き込んだ方が有意義です。

 


(5)前回間違えた問題を解き直す

  • 1回目に間違えた問題のみを解き直す

1回目に答え合わせをした時に、テキストに○×をつけているはずです。その×がついている問題のみをやり直しましょう。

全部やり直す必要はありません。全部やり直すのは生徒が嫌がりますし、解けると分かっている問題をやり直すのは時間の無駄だからです。偶然正解だった問題は、最初の段階で×をつけておきましょう。

 


(6)解き直しの答え合わせをする

  • すぐに答え合わせをする

最初に解いた時と同様に、大問1つごとに答え合わせをしましょう。解いたら即答え合わせをしなくてはいけません。

  • 問題番号に○×をつける

1回目と同じです。この段階で、全ての問題は『○』『×○』『××』のどれかに区分されるはずです。

  • ××の問題はさらに解き直す

『××』の問題はさらに解き直す必要があります。本当はしばらく時間を置きたい所ですが、塾の進度に合わせて、全ての手順を1週間で終わらせねばならないことを考えると、2回目に問題を解いた日から、1日か2日後になるでしょう。これでできない問題はほぼなくなっているはずです。

  • 本当に分からない所はググる!

上述の通り、塾のテキストの問題として取り上げられているものは、99%テキストの教科書部分に書かれているものです。テキストをしっかり読めば、疑問点はそれほど残らないはずです。分からない部分だらけだとすれば、テキストを読めていないということなので、繰り返し一緒に読むようにしましょう。

テキストの教科書部分や解説などを読んでも納得できない問題は、ご両親が一緒に考えたり、調べたりして解決してあげましょう。塾の質問教室などでもよいですが、時間がもったいないです。ご両親がインターネット検索し、画像などを見せながら教えてあげてください。そうして覚えたことは、子供はきっと忘れません。

 


(7)大きなテスト前に全て解き直す

マンスリーや組分けテストの前に、テスト範囲の問題を全て解き直してみましょう。この時は、前に解いた時から時間が経っているので、間違えた問題だけではダメです。全ての問題です。

大変すぎるように思うかもしれませんが、塾で上位の子は、「そんなの出来っこない」と思うような勉強量をこなしています。テキストの問題は全部完璧に解けるようになるまで、5・6回解いているという生徒も珍しくありません。

大きなテストに対しては、2・3週間前から計画を立てて、全ての問題をやり直すようにしてみてください。

 


まとめ

いかがだったでしょうか?突き詰めれば、真っ当に勉強するしかないという結論になりますが、歴史の勉強が上手く回っていないという生徒の助けになれば幸いです。

このページの分かりやすかった所、分かりにくかった所、疑問点などがあれば、コメント欄に書くか、メールを頂けると励みになります。

歴史に関しては、テキストを親子でしっかり読むことが一番の基本になると書きましたが、そうした時間がたっぷり取れるご両親はむしろ稀でしょう。日々の勉強に追われ、ご両親の精神的な余裕もないでしょう。

『社会の成績が伸びないけれどどうしていいか分からない』『一緒に傍で勉強する時間もノウハウもない』という場合は、アウトソーシングしてしまうのも手です。

家庭教師の依頼はe-mailで、info@katekyou.tokyoまでどうぞ!指導依頼と料金はこちら!

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