生徒のお母様から質問をされました。
6年生になると小学校を休んで中学受験の勉強をするという子が一定数出てきます。僕の感覚では、7,8割の子が一度はそうしたことをするのではないかと思います。また週一回などと決めて、休む子もいます。僕がそういう機会に教えることもあります。学校や塾で疲れている所に教えるよりも捗ることが多いです。
そうした際に保護者の方が不安に感じるのは、成績表を提出する必要がある学校(海城や筑駒など)が、欠席日数などをチェックして、入試の際に減点するのではないかということです。
僕が最近ある私立中学校に電話して入試担当者に確認した所、成績表の欠席・遅刻・早退は一切考慮していないとのことでした。その理由として、成績表は小学校によって形式がバラバラで、遅刻早退だけでなく欠席の欄がないものもあり、一律に加点・減点するのが現実的でないから、とのことでした。
また成績表のいわゆる勉強の成績も一切考慮していないとのことでした。こちらも小学校のレベルや評価方法がまちまちであることが原因だと思います。一流校になるほど、学力は自分たちの作った試験で評価するというプライドがあるでしょうから、もっともなことだと思います。
ではなぜ、成績表を提出させるのかと伺った所、合格者が新しく中学生活を始めるに際しての参考にするためだと教えて頂きました。私立中学の先生方は、最寄りの公立中に進学する場合のような小学校からの「引き継ぎ」がなく、生徒の扱いについての情報は成績表から得るくらいしかないそうです。
こうした事情はどの中学校でもほとんど変わりがないと想像しますが、心配であれば受験する中学校に問い合わせると、意外と親切に教えてくれます。また「答えられない」と言われたとしてもそれで損をすることはないので、とにかく正直に相談するとよいです。
ところで、小学校を休んでまで中学受験の勉強をすることの是非はまた別問題です。僕は倫理的な問題はないと考えています。日本の公立小学校はできない子に合わせた勉強に終始しており、優秀な生徒は(学問的には)全く学ぶことがない、という現状こそが問題だと思います。また小学校の先生が優秀な子を教えられるだけの専門スキルを備えていないことも問題です。
一方で、倫理的問題は置くとしても、学校を頻繁に休み、家に一日中閉じこもって勉強漬けの日々を送るというのは、子供の体と精神にとってよくありません。塾と家での受験勉強は小学生にとって大きなストレスを与えているので、学校で体を動かしたり、友達と話すことは大切です。また学校を休んで終日家にいても、集中して勉強できる時間というのは限られています。本当に集中できるのは多く見積もっても4,5時間だと思います。であれば、小学校に行って伸び伸び過ごし、残された時間を効率的に利用する工夫をする方が、結局合格に近づくのではないでしょうか。
とはいえ、明らかに過去問が終わっていない、苦手分野がつぶせていない、学校よりも家で勉強する方が好き、長時間勉強することが苦にならないという子もいると思います。
僕も夏以降は平日昼間のオンライン授業が埋まることが多いです。過去問を解説したり、苦手分野の対策ですね。今年、開成に受かった生徒は、週1回過去問の日と決めて学校を休み、分からない問題を僕が解説する形を取っていました。
ご両親は成績や志望校、勉強の進み具合、お子様の体力面・精神面、本人の希望を総合的に勘案して判断されればよいと思います。