このページは基礎的な内容ではありますが、大人用であり子供には少し読みにくいかと思います。
このページの内容を問題にしたのがこちらのページ 【逆算の練習問題1−1】です。
生徒はそちらの問題をまず解いて、つまずいたら大人が説明してあげれば良いと思います。
逆算によくある勘違いとは?
逆算とは
- 『+(足す)が−(引く)になる』
- 『−(引く)が+(足す)になる』
- 『×(かける)が÷(割る)になる』
- 『÷(割る)が×(かける)になる』
というように『+−×÷の記号が逆になる』と勘違いしている人がいますが、これは間違いです。
次の例を見てください。
2+□=5
この場合、□を出すためには5−2=3という計算をします。
使われている記号は+から−に変わっているので、『+が−になっている』というのは正しいということになります。
5−□=3
では、これはどうでしょう。
□を求めるには5−3=2という計算をしなければなりません。
使われている記号は−のままなので、『−が+になっている』とは言えませんね。
2×□=6
これはどうでしょう。
□を求めるには6÷2=3という計算をします。
使われている記号が×から÷に変わっているので、『×が÷になっている』というのは正しいですね。
6÷□=3
では、これはどうでしょうか。
□を求めるには6÷3=2という計算をしなければなりません。
使われている記号は÷のままなので、『÷が×になっている』とは言えませんね。
結局、逆算の『逆』とは+−×÷の符号が逆になることではないのです。
逆算の『逆』とは計算していく順序が『逆』になること
これは前回の記事で詳しく述べています。
ごく簡単に言うと、普通は①→②→③→④の順で計算していくところを、④→③→②→①の順で計算していくことが『逆』の意味です。
では符号はどうなるのか?
これは8パターンしかありません。
もちろん中学生になれば、□をX(エックス)と置いて、移項すれば迷うことはないのですが、小学生に方程式を詰め込むのは、あまり良いことではないと思っています。
+の場合
□+2=5 → 5−2=3(符号が逆・数字の順番が逆)
2+□=5 → 5−2=3(符号が逆・数字の順番が逆)
+の場合は、□が+の前にあっても後ろにあっても、逆算の符号は−(引く)になります。
『=の後ろにあった数字』から『=の前にあった数字』を引くことになります。
−の場合
□−3=2 → 2+3=5(符号が逆・数字の順番が逆)
5−□=2 → 5−2=3(符号そのまま・数字の順番そのまま)
−の場合は、□が−の前にある時は、逆算の符号は+になります。
『=の後ろにあったもの』に『前にあった数字』を足すことになります。
そして□が−の後ろにある時は、逆算の符号はーのままになります。
『=の前にあった数字』から『=の後ろにあった数字』を引きます。
×の場合
□×2=6 → 6÷2=3(符号が逆・数字の順番が逆)
3×□=6 → 6÷3=2(符号が逆・数字の順番が逆)
×の場合は、□が×の前にあっても後ろにあっても、逆算の符号は÷(割る)になります。
『=の後ろにあったもの』を『前にあった数字』で割ることになります。
÷の場合
□÷2=3 → 3×2=6(符号が逆・数字の順番が逆)
6÷□=3 → 6÷3=2(符号そのまま・数字の順番そのまま)
÷の場合は、□が÷の前にある時は、逆算の記号は×になります。
『=の後ろにあったもの』に『前にあった数字』をかけることになります。
そして□が÷の後にある時は、逆算の記号は÷のままになります。
『=の前にあった数字』を『=の後ろにあった数字』で割ります。
もっとまとめて言うと
結局、赤字で書いた部分だけ特殊だということになります。
赤字の所とは、−か÷の後ろに□がある場合です。
この場合だけ注意すれば大丈夫です。
- 黒字の所は『符号が逆になる』『数字の順番も逆になる』→つまりいわゆる逆算
- 赤字の所は『符号がそのまま』『数字の順番もそのまま』→注意が必要
ということです。
その都度、簡単な数字に置き換えて検証する
僕が生徒に言っているのは、迷った時はごく簡単な数字で試してみなさい、ということです。
543−□=91
例えばこういう計算があった時に、このまま考えるのでなく
3−□=2
といった簡単な数字に置き換えて、符号と数字の順番がどうなるか、一回検証してみるのです。
□は直感的に1と分かるので、□を導くには、3−2をすれば良いと分かるでしょう。
であれば、上の問題でも□を導くには、543−91をすれば良いと分かるのです。
221÷□=13
というような計算があった時にも、このまま考えるのではなく
6÷□=3
などという簡単な数字に置き換えることです。
□は2だと直感的に分かるので、□を導くには、6÷3をすれば良いと分かります。
であれば、上の問題でも221÷13=17と求められるはずです。
ポイントは簡単な数字に置き換える時に、2−□=1(□の中身が1)とか4÷□=2(□の中身が2)などといった、同じ数字が出てくる計算にならないようにすることです。
直感的に符号と数字の順序が捉えられる生徒もいる
以上のようなことを、クドクドと説明しなくても、直感的に捉えられる生徒もいます。
1000÷□=50
という問題があった時に、1000円を何人かで分けたら一人当たり50円になったんだから、1000円を50円で割れば人数出るでしょ、という感覚ですよね。
1000ー□=700
あるいは、1000円持っていていくらか使ったら残り700円になったんだから、1000円から700円引けば使った金額が分かるでしょ、という感覚です。
数字が複雑になっても、お金など身近なものに置き換えなくても、これらの計算がパッと理解できる生徒が多くいます。
そうした生徒にこのページは不要と言うことになります。
迷う生徒、またその生徒に上手く教えられないご両親にとって、このページが参考になれば幸いです。
またもう少し複雑な逆算を解けるようになりたい方は、次の記事へどうぞ。
15 thoughts on “逆算の解き方 ①(基本の四則演算)”