計算が苦手だというご相談はよく受けます。すべてのご相談の中で一番多いかもしれません。それだけ悩んでいる生徒とご両親が多いということであり、また簡単に解決できない問題でもあります。
僕は、その1つの解決法として、筆算を出来るだけ止めるということをご提案することがあります。
計算でよく間違える子供に対して、『丁寧に筆算しなさい』『筆算を綺麗に書きなさい』とご両親が口を酸っぱくして指導することがあります。これが逆効果であることがあります。というのも、多くの生徒を指導する中で、僕は以下のことに気がつきました。
- 筆算は誰がやっても一定確率で間違える欠陥のある方法であるということ(繰り上がりや小数点の位置や掛け算後の足し算など)
- 暗算の方が間違えにくいと言うこと(暗算は『およそどのくらいになるか』に意識がいくため、的外れな数値が出た場合に気付きやすい)
- よく出来る生徒ほど筆算を避けようと工夫すると言うこと
もちろんある程度以上複雑なものは筆算するしかありませんが、ごく簡単なものを筆算している生徒は絶対に伸びません。
筆算をしなくてもよい基準は以下のものになります。筆算習いたての生徒は筆算の練習を積む必要がありますが、5年生以上は以下の基準を守ってみてください。
- 1桁×2桁は筆算しない
- 2桁×2桁は筆算しても良いが、20×20以下は筆算しない
- 11×11,12×12・・・19×19,20×20までの平方は暗記する
- 15×15,25×25・・・85×85,95×95までの平方は暗記する
- 3.14の掛け算は出来るだけ暗記する
- 1桁で割る時は割られる数が何であれ暗算する
- 3桁までの足し算・引き算は筆算しない
ここまでできれば、暗算で出来る領域を独自にさらに広げていけるはずです。塾で教えられる計算の工夫を避けている生徒も取り入れられるようになるはずです。面倒な計算を地道に解いているうちは上達しません。
19×19までの計算の本は流行りましたね。ああいった計算方や3.14の暗記などを必要ないという方もいますが、中学受験ではほんの少しでも楽に計算できる方法は、面倒くさがらずに出来る限り取り入れるべきです。例えば3.14の計算などは何千回も解きますし、それが数秒早くできるようになれば、どれほど勉強が捗り、どれほどテストで有利になるでしょうか。他の計算についても同じです。
ただし最初は必ず計算ミスが増えます。それを3ヶ月我慢してみてください。
以下のような本を買ってもよいですし、工夫できる計算は塾でもインターネットでも紹介されています。1つ1つ取り組んで、取り組むことをお勧めします。計算が上手になると、思考力問題も得意になるものですから、ぜひお試しください。