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小学生に読んでもらう本

小学生で自分から勉強できる子ってすごいですよね。サピに通っていて、クラスを上げるために日々頑張ってる。成績が振るわないと、怒られたからじゃなく、悔しくて泣いてる。そんな子を見ていると絶対成績を上げてあげたいと思います。

 

でも頑張っていても必ずしも上がらないのが成績。僕のある生徒A君(4年生)は真面目なので、決まった範囲のテストでは良い線いっても、最近あった実力判定テストなどでは、その場で考える問題で失点が多く、苦戦しています。A君は「学校の友達B君は、ほんのちょっとしか勉強しないのに、すぐに何でも理解しちゃって、サピでも上のクラスをキープしているので悔しい」といいます。「何が違うんだろう」「僕は難関校を目指す才能がないのでは?」と本人もご両親も不安になっているようです。

 

確かにちょっとやっただけでサピの勉強が頭に入ってしまう子がいます。そういった子を見て「あの子は天才だから自分とは違う」「どうせ自分には無理なんだ」とは思ってほしくないです。「ほとんど勉強をしなくても勉強ができてしまう子」を天才と言うのであれば、僕は東大で6年間過ごしましたが、天才だと思える人はいませんでした。

 

できる子はやっているのです。本人がそれを隠しているか、意識していないだけです。現にA君に話を聞くと、「B君は毎日図書室に行って分厚い本を借りている」とのことです。サピのテキストを読む前に、大体のことを既に知っているか、頭にスッと入れるための素地があるのです。周りはそれを「勉強していないのにできる」と勘違いしてしまうだけなのです。

 

そうやって「好きでどんどん読書するが、塾では不真面目な子」と「真面目だからサピのテキストに貼り付いている子」を比べると、残念ながら前者の方ができてしまうのです。特に実力テスト、思考力問題に関するようなものは。僕の別の生徒にいわゆる歴女のCさんがいますが、社会は放っておいてもいつでも学年上位です。

 

もしかしたらそういったものを地頭(じあたま)などというのかもしれませんね。地頭っていう用語は嫌いですが、いわゆる即興力、問題解決力、グリット、思考力、読解力みたいなものは、塾のテキストに貼り付いて真面目にやるだけでなく、遊びに近いようなものの方が養われるのかもしれません。楽器だったり、読書だったり、好きな図鑑を丸暗記したり、鉄オタだったり、歴女だったり。キノコが大好きな男の子などという話もテレビで見ましたね。

 

話が長くなりました。今回はその子が真面目なだけでは越えられない壁を越えるために、読書をしてもらおうという話です。上記のように好きなジャンルで何か夢中になるものを見つけてもらうのが一番なのですが、そういうものが特にない場合、てっとり早いのが読書です。もう鉄板です。どんな時代でも読書は裏切りません。読書で学んだことは、塾のテキストで学んだことよりもずっと個人的で、自慢できて、したがって記憶に残り、大切な思い出にもなりうるものです。

 

では何を読んでもらおうかな、、、下手なものを紹介してつまらないと思われたら読書が嫌いになってしまうかもしれないし、反対にこれをきっかけにして読書にハマれば一気に成績が上がることだってありえます。これも本当はA君自身で大きな本屋にいって好きなものを買ってくるのが一番なのですが、何がいいのか分からないということなので僕がお勧めすることに。

 

うーむ、責任重いな、、、

 

ネットで検索すると、女の子が好きそうなものがよく紹介されています。赤毛のアンなんかは清らかすぎて現代の男にはどうなんだろう。あるいは漱石だったり、宮沢賢治だったり、芥川だったり。日本の文豪は敷居が高いですよね。そういったものを面白いと思う子は既に読書をかなりしてる子ですよね。逆にあまりにもエンターテイメント性が高すぎる軽い物語では勉強としてどうなんだというのもあるし。ハリーポッターは個人的に悪くないとは思いますが。ご両親の心境としては、ハリーポッターに夢中になっていたら不安になりますよね(笑)。お堅い本を読んでいたほうが安心するでしょう。

 

迷った結果、まずはこれをお勧めすることにしました。ジェイムズ=ヘリオットの『犬物語』。ジェームズ=ヘリオットはイギリスの田舎町の獣医さんですね。『犬物語』は彼の著述の犬に関するところを編集したものかな。僕はしっかり読んだことなかったのですが、開成中学の平成13年度の国語の問題として出題されていましたね。

 

僕の生徒は開成を目指しているので、開成に出ていた問題だといえば少し難しくても読むのではないかと。開成の過去問とはいっても、4年生に論説文は難しすぎて、本1冊分読み通すのは無理がありますよね。となるとまずは物語文。開成の物語文といえば、海外の作家の作品がよく出題されますが、海外作品に抵抗感のある子が多いです。登場人物の名前がカタカナなだけで覚えられなくて嫌だ!という子ですね。吹き替えでないと映画を見る気にならないとか。大人でもいますよね。よし、これを機会に海外文学に耐性を付けてもらおう。

 

『犬物語』を楽しんで読んでくれるかどうかはわかりませんが、とりあえずトライしてもらおうと思います。小難しい注文や課題を一切付けず、ただ読んでもらおうと思います。しっくりこないならば、無理して読み通さず別の本を紹介するつもりです。僕も一度読んでみようと思います。僕は英語で読んでみようかな。生徒が読んでみてどうだったか、僕が読んでみてどう思ったかはまた報告しようと思います。

 

 

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