今日はSAPIX5年生と6年生を5人教えました。灼熱の都内を周遊した後、帰宅してすぐオンライン授業、合間に子供達の夕飯を作り、またオンライン授業という、なかなかハードな1日でした。
一昨日、【公倍数ごとに出会う問題】の直感的な解き方を説明しました。この種の問題に慣れていない生徒は、このように解いた方が、やっていることの意味をつかみやすいという風にお話ししました。
しかし、前回記事で紹介した解法の第1ステップにおいて、【最初に出会う数】を書き上げて探していると、多くの場合ものすごく時間がかかります。これは問題を作る側が【最初に出会う数】をわざと見つけにくくしているからです。
今日は【最初に出会う数】をもっと楽に見つける方法を説明します。たとえばこのような問題です。
7で割ると5あまり、11で割ると9あまり、13で割ると11あまる整数を下から順に3つ求めなさい。
これを前回のように書き上げて解いてみると
5,12,19,26,33,40,47,54,,,
9,20,31,42,53,64,75,86,,,
11,24,37,50,63,76,89,102,,,
いっこうに共通する数字が現れません。それだけでなく、何度も足し算をする中で、計算間違いをしていないか確信が持てなくなってきます。いつか【出会う】ことが分かっていても、書き上げすぎるのは時間もかかりますし、ミスする確率も高くなるので、良い手だてとは言えません。
ここでは最初に書いた数(5,9,11)に、7と11と13をどんどん足していっているわけですが、発想を変えて、最初に書いた数から7と11と13を引いてみます。
すると、すぐに-2で出会いましたね。マイナスの概念を習っていない5年生でも、SAPIXに通っている生徒であれば、これをすぐに理解できるはずです。
そして1つ共通の数字を見つけたら、次は7と11と13の最小公倍数を足せば、次の共通の数字にたどりつけるのでしたね。
7と11と13はすべて素数ですので、最小公倍数は7×11×13=1001になります。このように最小公倍数が大きいからこそ、右にどんどん足していっても、答えを見つけることが難しかったんですね。
-2に1001を足すと999になりますが、これが1つめの答えになります。2つ目の答えは、999に1001を足して2000、3つ目の答えは、さらに2000に1001を足して3001ということになります。
それぞれの最初の数から、1回引いただけですぐに【出会う】というのは、問題文の
7で割ると5あまり、、
この7と5の差が2で
11で割ると9あまり、、
この11と9の差も2で
13で割ると11あまる、、
この13と11の差も2であることから判別できます。それぞれの条件の数(割る数とあまり)の差が同じになる時は、1回引いただけで【出会う】のですね。
ただし、差が同じにならない場合でも、2,3回左に引いてみると【出会う】場合がありますので、最小公倍数が大きくなりそうな時には試してみてください。
これは裏技ではなく、『受験生ならば知っているのが前提』の解法になります。ゴリ押しで書き上げていっても、999という最初の数にたどり着くのは難しいということはすぐに分かりますね。
ですから、前回紹介した直感的な解き方ができるようになったら、次のステップとして、必ず今回紹介したこの解き方にもチャレンジしてみてください。