今日はSAPIXの5,6年生と中学生を教えました。
SAPIXの6年生は復習テストの対策をしました。SAPIXの5年生の算数は夏のテキスト1番目の「約数・倍数」ですね。中学生は夏休みの宿題を全部チェックして計画を立てるという授業でした。
ところで、約数・倍数に関しては、以下のような有名な問題があります。
9でわると3あまり、12でわると6あまる3ケタの整数のうち、最大の整数を求めなさい。
僕はこれを【公倍数ごとに出会う問題】と呼んでいますが、これがいつまでも苦手な生徒が多いですね。整理して解くコツはこれを3ステップに分けることです。そしてこの3ステップを、はっきり言語化してとらえることです。
- 第1ステップ:最初に出会う数を求める
- 第2ステップ:公倍数ごとに出会うことを確認する
- 第3ステップ:目的の数を求める
この問題に慣れていない生徒は、第1ステップに関しては、オーソドックスに書き出した方が良いです。その方がこの問題の本質がつかみやすいです。
9でわると3あまる→3,12,21,30,39,48,57,66,,,
12でわると6あまる→6,18,30,42,54,66,,,
こういうことですね。この時に、商が0の場合(あまりがそのまま3と6になる場合)を忘れないようにしましょう。
ここで30で最初に【出会っている】ことがわかります。これが第1ステップです。
次に第2ステップでは、30の後は36ごとに【出会う】ことを、直感的に理解することです。上は9ずつ、下は12ずつ増えているのですから、36ごとに同じ数字が出現することが分かるでしょうか。この36は9と12の最小公倍数です。つまり30の次は66、66の次は102で出会うことになります。
第3ステップでは、この問題をもう一度読み直す必要があります。3ケタのうち最大の整数を求めるように指示されているのですから、999に近づける必要があります。30から始めて36ずつずっと書いていくのも一つの手です。
30, 66, 102, 138, 174, 210,,,
といった風です。このままゴリ押しで書き続け、999まで近づける方法です。最初はそれもよいでしょう。
ただそれではちょっと面倒なので、少しだけ工夫して、360ずつ足してみてはどうでしょうか。36ずつ出会うのですから、360足しても出会うはずです。36を10回足せば、結局360足すことになりますからね。
30, 390, 750,,,
かなりショートカットできましたね。残りは36ずつ足しても良いですし、72や108といった36の倍数を足しても良いです。ここでは、750の後に108を2回足してみます。
30,390,750,858,966,1002
966でかなり999に近づいたので、次は36を足しました。すると、ここで999を超えてしまったので、966が答えですね。
以上、まずはこのように原始的に(問題文の意味をそのまま書き出して)解く訓練をすると良いと思います。いきなりスマートなやり方だけを覚えると、問題文の意味をひとまず自分なりに表現してみる力がつかないですし、この問題のキモである『公倍数ごとに出会う』という感覚をつかめないままになってしまいます。
やり方を暗記する生徒は、時間が経つとすぐ解き方を忘れたり、ひねられると問題の意味が分からなくなってしまいます。SAPIXはパターン問題を何度も繰り返させるので、「理解していないのに形式だけ暗記してなんとなく解ける(時もある)」というのが、一番怖い症状になります。
明日はこの第1ステップと第3ステップを整理して、もうちょっとスマートに解く方法について書こうと思います。