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塾の夏期講習や集中特訓を休むことについて(中学受験)

夏期講習は消化不良になりがち

中学受験を目指す6年生は、夏休みが天王山と言われます。どの塾に通っていても、夏の間は夏期講習の予定でいっぱいになります。そのペースについていける子はいいのですが、毎日毎日小テストや宿題に追われて、消化しきれない内容が積み重なっていく子が多いように感じます。

特に今年(2020年)は夏休み中も学校がある生徒が多く、「勉強も日常生活も全然まわらない」という声を聞きます。

準備不足・復習不足のまま塾に通うだけで、その場限りの勉強をして、理解が定着していかない子を見て、しっかりしたご両親は「これはまずいよね」と感じるはずです。

 

お盆付近の集中特訓を休んで復習にあてる?

「夏期講習自体には行って、お盆にある5日前後の集中特訓を休んで、そこでリフレッシュして、それまでの復習するのはどうか。その間に、分からない問題が出てくるはずなので、家庭教師をお願いできないか」というようなご相談が多いです。塾・ご家庭・家庭教師の立場から、出来るだけフラットに、僕の意見をシェアしようと思います。

 

理解のない詰め込みは意味がない

言うまでもないことですが、ただ塾に通っているだけでは意味がありません。塾の授業時間内で勉強内容が理解できればよいですが、そのような子はほとんどいません。予習・復習しなければ、塾に通ってもほぼ何の意味もないと思って間違いありません。塾のカリキュラムは家庭学習ありきで成り立っているということです。

 

できない子ほど教材の量は減らして基本を押さえる

夏期講習は毎日、4教科のテキストがそれぞれ10ページ以上指定されることもありますが、苦手な子はこなすことはできません。情熱的な塾の先生に「ここをやってきなさい!」と言われた子供は、解法の丸暗記をするようになります。苦手な教科は基礎が出来ていないので、どんどん新しい内容を詰め込まれても理解できないのは当然ですし、「何とかこなさなければ」という思いが子供にもあるので、間違った勉強方法に染まっていくことになります。

できない子は基礎に戻って、簡単な内容を少しずつ進めるべきです。夏期講習は実践的・応用的な問題にも取り組むようになりますが、実際の所、苦手な子が目指す受験ではそこまで必要ない場合が多いです。いずれにしても、理解の追いついていない詰め込み勉強は、成果が上がりませんし、そうした勉強態度は中学校以降の勉強にも悪影響を及ぼします

 

塾に相談しても意味がない

夏期講習や集中特訓を休むと言うことについて、塾に相談しても、ほぼ間違いなく強く反対されます。これは僕の経験上100%です。僕からすれば「休んだ方が良いのではないかな」と思う生徒でも、塾に相談すると必ず反対されるということから、塾ではこうした場合の対応が予め決められているようです。

それがビジネス的な観点からなのか、教育上の観点なのかは分かりませんが、「宿題やらなくてもよいから」「予習・復習は必要ないから」「来て授業を受けるだけでよいから」などと言われることもあるようです。ですが、こういうことを言う塾は信用してはいけません。しっかりと理解しながら、解けない問題は復習し、地に足をつけた勉強が出来なければ、いくら長時間通塾しても意味がありません。

いずれにしても、塾を休むということについて、塾に相談してもフェアなアドバイスをもらうことはできないでしょう。

 

通塾のメリットも大きい

ただし、僕は中学受験において、塾の役割はとても大きいと感じています。

塾の最大のメリットは『ペースメーカー』としての役割です。夏の間毎日塾に通えば、生活習慣は崩れないですし、『今このくらいの時期に、どのくらいの問題を解けなければならないのか、みんなはどのくらいできるのか』が分かります。また他の生徒たちが一生懸命勉強している姿を見れば、『自分もやらないと』という気持ちになるはずです。

 

塾を休むとご家庭の負担が増える

『塾を休んで基礎からしっかり勉強する、溜まってしまった教材を復習する』というのは素晴らしいですが、実際それが出来るかどうかということになると、なかなか難しいです。だらだらしてしまったり、一人では結局しっかり理解できなかったり、面倒を見るご両親がイライラしてしまったりとデメリットがあります。

塾を休んでいる間毎日来てもらえないか、という依頼が家庭教師に回ってくることがあります。これも一つの手段です。毎日家庭教師が来れば、ある種の生活習慣ができますし、分からないところはじっくり説明してもらえるし、サボりにくくなります。ただし、家庭教師の授業を塾のように長時間受けることは現実的ではありません。結局ご家庭でのご両親の管理が必要になってきます。

通塾すれば長時間預かってもらえますし、成果はどうあれ塾にいる間は勉強しているという安心感があるので、精神的にもご両親が楽なことは間違いありません。

 

ご両親の見極めと判断が大切

ご両親がじっくりとお子様の様子を観察して、勉強内容も見極めた上で、「家庭の負担は増えるけれども休ませた方がいいのではないか」と感じたとすれば、おそらくそれが正解です。塾に相談しても間違いなく反対されますが、ご自身の判断と責任で、お子様のペースにあった受験勉強をプロデュースしてあげることをお勧めします。

 

僕個人のお勧め

ご両親が「今のままではまずい」と感じたならば、夏期講習はなんとか行って、お盆の時期の短期集中講座は休むのが良いと思います。この休みでリフレッシュできますし、夏期講習前半の復習ができます。

夏期講習はこれまでの総復習的な内容になっており、受講することを前提として全体の学習カリキュラムが組まれています。またこの部分のテキストは、直前期に苦手分野を見直すのに役立つので、入手しておいた方が良いです。

一方で、8月中旬の短期集中講座は演習的な内容が多く、後で取り返すことができます。実際に受験する中学が固まってから、その過去問をしっかりやればそれでよいです。お盆期間を帰省や旅行などで休む生徒が必ず一定数いますが、そうした生徒でも困らないような学習内容になっているということです。

塾を休んでいる間も家庭学習は必要です。夏期講習前半の復習をしっかりして、苦手を克服しましょう。ご両親はこの間の勉強計画をしっかり練った上で、生活習慣が崩れないよう忍耐強くリードしてあげて下さい。分からない部分をご両親が教えてあげられるのであればそれがベストですが、家庭教師や個別指導を利用するのもいいでしょう。その場合は、毎日決まった時間に授業を入れること、欲張らず範囲を絞って基礎を学ぶことが大切です。

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