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中学受験お悩み相談【反抗的な子、勉強しない子を放任してよいのか】

質問内容

大手の塾に通い、中学受験を目指す小学6年生の母親です。「勉強しなさい」といくら言ってもやる気を出そうとせず、声かけをするほど親子関係が悪化します。やっていない塾の課題や、復習していないテストを見つけて指摘するのですが、色々と誤魔化した挙句、「やったよ」「うるさいな」と逆ギレして、部屋に閉じこもってしまいます。夫は「もう放っておけ」「やりたくないならやらなくていい」と言うのですが、成績は下がり続けており、私が何も言わなければ本当に何もしないのでつい口を出してしまいます。夫の言う通り、もう本人に任せてしまった方が良いのでしょうか。どうしたら自分から勉強するようになるでしょうか。

 

質問のポイント

  • とにかく勉強しない
  • 勉強させようと声をかけると喧嘩になってしまう
  • 勉強していないことをごまかす
  • お父様が放任、お母様が小言というギャップ
  • 放置してよいのか

 

よく陥る状況

僕の生徒でもこうした状況に陥る子は多いです。反抗期、塾での成績がよくない、勉強習慣が身に付いていない、といった子です。またお母様に中学受験の経験がない、あるいは大学受験勉強をしていない、という場合も多いです。子供の勉強を管理しすぎずに、子供の『自覚』に任せてきたご家庭が多いです。

 

要因

  • 反抗期
  • 勉強習慣が身についていない
  • お母様に受験経験がない
  • お父様が積極的でない
  • 子供の『自覚』に任せてきた

 

実は本人も困っている状態

こうした生徒はやる気がなく、ご両親の目には傲慢に映るかもしれませんが、やる気がないというよりは、やり方が分からないといった方が近いでしょう。

やり方が分からないならば『塾に指定されているものをやればいい』『目の前の漢字や暗記物すらできていない』とご両親は思うかもしれません。しかし、ほとんどの小学生は、優先順位を自分で付けることができないので、塾の宿題は量が多すぎてゲンナリしてしまっているのです。

ご両親に「これをやりなさい!」と言われても、親を信用していない状態なので素直にいうことを聞けません。かといって一人でテキストの解説を読んでも理解ができないので、机に向かう気力がどんどん失われていきます。

つまりやる気がないのではなく、『飽和状態でフリーズしている』『どうしてよいか分からず困っている』と考えてあげるのが良いと思います。「やる気がないんだからどうしようもない」と突き放すのは楽ですが、解決になりません。

 

塾に通い続けていれば夏〜秋にかけてやる気が出ることが多い

「外で友達と遊びたい」「ゲームをしたい」などと言って勉強時間が取れない子がいます。しかし、塾に通い続けていれば、6年生の夏頃にやる気が出てきます。早い子は6年の春から、遅いと10月頃になります。志望校と実力の差が現実的に分かるようになり、マズイと感じるんですね。また塾の仲間がやる気になってきて、子供同士で受験の話をするようになることも大きいです。親としては早くやる気になってほしい所ですが、いわゆる『やる気スイッチ』のようなものを他者から入れてもらおうと思ってもうまくいきません。これに関しては待つしかありません。

 

両親の方針は一致させるべき

ご両親の意見が一致していないと、なかなかうまく対策が進みません。

ごく一般的にいえば、お父様の方針は全体として正しい場合が多いですが、突き放しがちになりがちです。お母様は細かいことを言い過ぎたり、勉強の成果や結果よりも「机に座っていること」を重視しがちで、お子様を束縛しすぎるということが多いです。

どのような教育方針を取るにせよ、ご両親がお子様の前で揉めてはいけません。子供は自分が原因で両親が喧嘩することが何より嫌ですし、両親の意見の相違を利用して勉強をさぼります。

お子様抜きでご両親で話し合って、方針を一致させておくと良いと思います。特にお父様の立ち位置が難しいのですが、口を出すなら積極的に勉強を教えること、勉強を教える時間がとれない(あるいは教えたくない)のであればお金だけ出して、結果に対しても勉強法についても口は出さないこと、が良いと思います。

 

中途半端な「小言」よりは何も言わない方がまし

普段の家庭学習において大切なのは「小言」を言わないことです。中途半端な「小言」よりは何も言わない方がましです。同じことを何度も言ったり、お説教の回数を重ねるほど、親の発言に重みがなくなっていきます。

 

確実なことだけ注意する

ボーッとしていた子供に対して「集中しなさい」と注意しても意味がありません。「考えてたし!」と反論されてしまいます。「漢字の勉強やったの?」と注意しても無意味です。「やった!」と言うに決まっています。どのノートに何回書くかを決めておいたり、親の前でテストさせてた上で、「ほら、できてないじゃん!」という風に、証拠を突きつけて叱らないと意味がありません。「部屋で漫画読んでいたんじゃない?」などという言い方もよくありません。現場を押さえて言わないと意味がありません。そもそも部屋に籠もって漫画を読めてしまう環境を改善した方が良いです。

 

発言に責任を持つ→面倒くさがらずにチェックする

親が「やったの?」と口にした以上、子供が「やったよ!」と言っても引き下がってはいけません。ちゃんとやっていれば成績が下がるはずもなく、しっかりやっていないことは最初から分かっているのですから、やった証拠を提出させねばなりません。絶対にチェックされると分かっていれば、子供が嘘をつくことも減ります。子供が「やったよ!」「色々言われるから余計にやる気がなくなる!」などと逆ギレする時は、やっていない時です。『聞いたなら確かめる』『確かめられないことは聞かない』『一度注意したことは必ず守らせる』『守らせられないなら注意しない』といったことに気を付けてください。

 

小言を言うよりも環境を整える

もし部屋で遊んでいると疑っているのであれば、リビングなど目の届くところで勉強させましょう。答えを写しているのではないかと疑っているのであれば、答えを預かりましょう。テスト直しをしていないのではないかと疑っているのであれば、一緒に直しましょう。ゲームやスマホや漫画で遊んでしまうのであれば、使えないようにしましょう。押し入れにいれておくだけではいけません。絶対に使えない状態にしましょう。面倒くさがらずしっかり環境を整えれば、疑うような発言をしたり、不毛な水掛け論をする余地がなくなります。

 

勉強は量より質

当たり前のことですが、意外と守れていない子が多いです。親も子供の成績が悪いと、『もっともっと』と、負荷を増やしてしまいがちです。理解が追いついていないのに、課題に追われて、ただこなすだけになっているんですね。小学4、5年であれば、丸暗記で何とかなりますが、テスト範囲が広がり、思考力問題も増える5年生後半以降は、理解していない勉強は害にしかなりません。ご両親は子供の勉強が消化不良を起こしていないかチェックして、解法を暗記しているだけで解き方を自分でしっかり説明できないようであれば、思い切って勉強内容を絞ることです。そうすることでお子様のストレスも一気に減るはずです。

 

育て方を間違ったは間違い

勉強をめぐる親子関係の悪化に疲れてしまい、最終的には子供の勉強に関わることをやめてしまう方がいます。「何を言っても意味がない」「育て方を間違った」「本人のやる気がない限りどうしようもない」というように、突き放してしまうんですね。高校生であればそれでよいかもしれませんが、少なくとも中学受験に関しては、親が上手に関わらなければ成功しません。

子供の勉強に一切口出ししないという態度は、子供が勉強を自分の問題として引き受けるために、一定の効果があります。また中途半端に小言ばかり言うよりは、何も言わない方がましかもしれません。しかしこれまで述べてきたように、理想的な対応は、環境を整え、できるだけ口を出さず、確実なことは注意する、という態度だと思います。

 

まとめ

相談をしてくださる方は、本当に悩み、落ち込んでおられます。既に各方面からアドバイスを聞き、ネットで調べ、実際に色々と試しておられるでしょう。「できることは全てやったんです」とおっしゃる方もいます。ただ様々なご家庭に伺っている立場から言えば、受験に対する姿勢はご家庭ごとに全く異なります。色々と試したつもりでも、本当にドラスティックな変化は起こせていない場合が多いです。

『丸暗記はしない』『基礎から理解を深める』『子供のキャパシティと精神状態に気を付けて勉強量を調整する』『信頼のおける親子関係を築く』といった基本を守りながら、試行錯誤して頂きたいと思います。

『小学生はみんな勉強ができるようになりたいと思っている』『やり方次第で必ずできるようになる』と信じて、明るくポジティブに受験に向き合って頂きたいです。受験によって勉強が嫌いになってしまっては本末転倒ですから。『志望校に合格できなかったとしても、やって良かったと思える受験』を意識すれば、道を逸れることはないと思います。

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