小6 勉強の仕方 教材紹介 中学受験FAQ

コアプラス頼りすぎ問題について

SAPIXの教材の『コアプラス』について、僕の意見をシェアします。結論から言うと『コアプラスは知識の確認用であり、根本的な理解の助けにはならない』ということです。

コアプラスだけでは成績は上がらない

受験が近づく秋口になると、コアプラスをやり込んでいる生徒が多くなります。そしてその多くが「成績が伸びない」「過去問で点数が取れるようにならない」と悩んでいます。そうしたお悩みに対する僕のアドバイスは大体、「塾の通常授業のテキストまで戻って、苦手範囲をやり直してください」ということです。

コアプラスはまとまっていることが長所であり短所

コアプラスはまとまっているがゆえに、細部を捨象してしまっています。そしてその細部こそが受験で問われるのです。

SAPIXのテキストは4~6年生で配布されるものだけでも、膨大な量になります。毎週配られるプリントやテストなども含めれば、1教科で棚が1つ埋まるくらいでしょう。それを「全部やり直すことなんて無理だからコアプラスだけをやりこむんだ!」という意見も、一見正しいように思えます。

しかしSAPIXは意味もなくそれほど大量のテキストを配布しているわけではありません。理科にせよ社会にせよ、簡単な導入があり、多くの画像や図表を提示して、ストーリー性を持たせて、順々に説明を深めているのです。確認問題も簡単なものから、角度を変えたもの、発展的なものを配置し、毎週・毎月のテストでチェックしていくのです。その総体が棚1つ埋まるほどの教材ということになります。それを「コアプラス」という分厚くもないテキスト1冊で終わらせようというのは、虫が良すぎると思いませんか。

  • 簡単な導入がない→難しいと感じた問題は暗記で済ませてしまう
  • 画像や図表が少ない→理解が深まらない、分析力がつかない
  • 問題数が少ない→答えを暗記する、平面的な勉強になる

コアプラスはどれだけやり込んでも理解にはつながりません。たとえば理科の「てこ」については数問しかありません。「てこ」の分野が苦手な生徒がこの数問を何百回やっても、苦手が解消されることはありません。

コアプラスでは問題を読む解く能力がつかない(むしろ退化する)

またコアプラスによる勉強は読解力を必要としません。コアプラスは問題文を読む解く必要がありません。見た瞬間に何が問われているか分かる問題が多いですし、繰り返せば繰り返すほど、問題文を読まなくなります。

実際の入試問題は「織田信長が今川義元を破った戦いはなんですか」に対して「桶狭間の戦い」を答えるような単純な問題ではありません。導入文があり、図表や地図があり、読み解き、分析して、多角的な知識を活かして答えるものです。

これは理科でも同じです。例えばてこの問題でも、てこの図が書いてあり、「ここにかかる力は何グラムですか」などという問題は少ないですし、あったとしてもどこかに捻った要素があるはずです。コアプラスをやり込めばやり込むほど、条件反射的に決まった解法を当てはめて解くようになり、「読まなくなり」「考えなくなり」「応用できなくなり」ます。

コアプラスは偏差値40代以下用、あるいは苦手を見つけるためだけにある

何も考えずに決まった解法をあてはめるだけで入学できる学校の生徒は、コアプラスだけでもよいでしょう。あるいは既に各分野をしっかり理解している生徒が、暗記項目の最後の確認に使うのもよいでしょう。その場合、できなかった分野や理解できていなかった箇所は、テキストに戻って読み直したり、ある程度ボリュームのある問題集やテキストを解き直さねばなりません。

コアプラスに限らず、まとまりすぎている問題集は本質的な理解を遠ざける

「だって時間がないんだもん」という生徒がいます。確かにその通りでしょう。「コアプラスだけ徹底的にやればなんとかなるんじゃないか」と考えている生徒ほど、志望校の偏差値と実際の成績が離れていますから、間違った効率を求めてしまうのも理解できます。

ですが広くて浅い勉強は効率的ではありません。なぜなら浅い理解で解けるような問題は、難関校では出題されないからです。どんなに時間がなくても、『基礎から』『ストーリー性をもって』『多角的に』『理解を伴って』『細部を大切にして』『理解できているかチェックしながら』『徹底的に』勉強する以外の方法はありません。

たとえ受験1週間前でも、コアプラスだけやるくらいなら、苦手分野を1つだけ絞って、徹底的に勉強した方がよいでしょう。「その分野が出題されなかったらどうするの?むだじゃん」と考える生徒がいますが、そうした生徒は勉強の本質がわかっていません。根本的に難しいかもしれません。

苦手範囲は最初の授業テキストに戻ってやり直す勇気を

6年生まで頑張ってきた生徒であれば、苦手範囲の授業テキストに戻って1から読んで解き直しても、思ったよりも早く進むものです。ほとんどの生徒が「あ〜これ、ちょっと覚えている」「読み直したらそういうことだったのか!と分かった」「今解いたら意外と簡単」などと言います。

SAPIXに限らず、塾の4~6年のテキストには、すぐにアクセスできるように整理しておいてください。分からないと感じた所は、面倒くさがらず、すぐにテキストに戻る。そこがホームになります。

テキストに戻ったら、できなかった問題の知識だけ確認するのではなく、周辺知識を確認する、しっかり読む(音読)、気付いたことを書き込む、確認問題を解き直す、などの能動的な勉強をすべきです。

まとめ

親が「◯ページから◯ページのコアプラスを完璧に覚えなさい」などと押しつける勉強では、絶対に受験は成功しないので、早い段階で身のある勉強に切り替えてください。

①ある程度のボリュームのあるものをしっかり読んで理解

②図や表やコラムや注を軽視しない

③簡単な問題から始めて、徐々にレベルアップする

ごく当たり前の勉強ということですね。効率的な勉強とは薄い教材を丸暗記することではなく、「たくさん読むこと」「基礎からやること」「理解と共に進めること」です。

(Visited 1,260 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。