今年度の指導も終わりになりました。今年は6年生の指導が多く、様々な中学に合格してくれました。
5年生の夏から指導しているI君は麻布・栄光・浅野中に合格しました。
SAPIXに通うI君は、算数専門の塾に通っており、算数は偏差値60~65をキープしていましたが、国語が苦手で波が大きく、50後半を取れることもあれば、40代に落ち込むこともありました。
算数の重要性も認識されており、算数と国語の勉強ということで、指導を開始しました。ご自宅が離れていたこともあり、最初から最後までZOOMでの授業でした。オンライン授業でごく稀に通信状態や機器の操作で戸惑ったこともありましたが、I君も徐々にiPadを使いこなすようになり、オンライン授業のデメリットは感じませんでした。
5年から6年の前半は、SAPIXのマンスリーと組み分けで良い点を取りクラスを上げるということを勉強の目標としました。これは勉強の本質から外れているように思われがちですが、SAPIXのカリキュラムはよくできており、SAPIXの授業に全集中することが中学受験成功の近道だと思っています。
途中から週2回の授業に移行したこともあり、理科社会の指導も柔軟に行いました。その時々で不安な教科を勉強しましたが、基本は国語でSAPIXのマンスリーの過去問や受験問題でちょうどレベルのものを、大問1つ解いてもらいその場で採点・記述の添削・解説まで行いました。
5年から6年の前半はご両親に言われないと勉強せず、成績も一進一退で、僕との授業で苦手な部分を埋め合わせているような感覚もありました。夏以降は麻布に進学したいとのイメージが湧いてきて、自分から積極的に勉強できるようになりました。1年以上国語の勉強を続けたことで、国語の苦手も徐々に解消されて、いつの間にか苦手科目という感覚がなくなっていました。
6年夏以降は、急に実力が伸び、麻布・栄光・浅野のどれかは確実に合格できるだろうというレベルに達しました。細かい知識は自分で埋められるようになったので、最後は算数の特殊な問題をとにかくたくさん解くという勉強になりました。難関校の算数の思考力問題は、似た問題を見たことがなければ、現実的に解けない、あるいは時間がかかり過ぎるというものがあります。逆にいうと、特定の問題を見たことがあり、その解法を理解していれば、大問一個が丸々短時間で解け、大きなアドバンテージになります。もちろん基本が全て終わっていることが前提ですが、他の受験生が対策していないような問題が1問でも出ればよしという感覚で、麻布・栄光の問題はもちろん、開成・海城・渋幕などの問題をたくさん解きました。
かなり余裕のある受験でしたが、それだけに3連敗したらどうしようという不安がありました。結果は全部合格で最高の結末となりました。
I君を指導した経験から得た教訓としては、やる気が出ず勉強しない子でも諦めるべきで無いということです。5年生からガチガチに勉強している子は逆に最後伸びにくい傾向にあります。勉強しない時期の成績が苦戦するのは当たり前なので、何とかその時期を「しのぐ」ということが大切になります。最下位クラスに落ちるなど全くついていけないようでは意味がありませんが、そうでなければ6年生になり自主的に勉強するまで我慢するのがよいです。実際、6年生夏頃になると、成長段階や性格にもよりますが、ほとんどの子が自分で取り組めるようになります。ご両親はイライラと不安が募るものですが、長いスパンで見守って、「最善の環境を用意して、あとは本人次第」という割り切った覚悟が、最終的には良い結果を生むように思います。